独立系運用会社として日本で初めて株式上場を果たしたスパークス・グループが、創業以来35年以上にわたって培ってきた日本経済・株式市場の見方を同社チーフエコノミスト清水孝章が発信する連載、第1回。今回はデフレからインフレという大転換点に立つ日本について。
2026年6月、日経平均株価は7万円台に突入し、市場最高値を更新した。8月現在も6万5000〜8000円台を推移している。1989年末につけた3万8916円を上回る水準に34年ぶりに回帰したのが2024年2月。そこからわずか2年ほどで80%近い上昇だ。しかし、この象徴的な株式市場の動きは、日本経済と企業のファンダメンタルズが長きにわたるデフレ期間に大きく改善していたことを踏まえると、驚くべきことではない。今ここで認識すべきは、デフレの完全終焉とともに、日本経済と企業の実体が30数年ぶりに通常のインフレに回帰し、日本の株式市場が新たな長期上昇トレンドのスタートラインにようやく立った、ということである。
世界で最も収縮した日本に再びスポットライトが当たる
30年という単位(1990‐2022年)で世界を俯瞰すると、日本は今どういう立ち位置にいるだろうか? 世界のGDPはこの30年、平均年率4.6%で22兆ドルから100兆ドルにおよそ5倍に拡大した。そうした中で、日本のGDP成長率は年率0.9%という歴史的にも異常な低成長であった。産業革命以前に遡らないと見当たらないほどの低成長率が30年以上にわたって継続したのだ。
その結果、日本のGDPの世界シェアは1990年の14%から2022年には4%までに大幅に収縮した。この間、米国は年率4.5%で成長して世界シェアを25%前後で維持した一方、中国は年率12.3%で成長して世界シェアで2%から18%を占める超大国へと成長した。
つまり、日本は異常な低成長で長期停滞し、世界での存在感が薄れていったのである。この異常な低成長の根源は、長期の真性デフレという歴史上も極めて特殊な経済環境にあった。価格が上がるどころか下落する環境が30年以上も続いたため、持っている力を十分に収益へ転化できなかったのだ。しかし今、デフレからインフレへの回帰という大転換で、長きにわたり世界の投資家に放置されてきた日本企業に再びスポットライトが当たっている。



