女性起業家はかつてないペースで起業し、革新的な企業を育てながら、様々な業界で雇用創出にも貢献している。しかし、成長資金の調達においては、長年解消されていない課題に直面している。それは、投資家ネットワークや投資機会への「アクセス」の壁である。
女性とベンチャーキャピタル(VC)を巡る議論では、資金全体のうち、女性起業家に投じられている割合に注目が集まりがちだ。しかし、女性起業家の資金調達をAIで最適化する「Fund Her Network」の創業者であるMarilyn Joynerは、より本質的な課題は別にあると指摘する。
「全てはアクセスの問題だ。女性は今なお、適切な人脈や機会が集まる場に参加することに苦労している」と彼女は言う。
依然として解消されない資金調達の格差
VC業界では、投資配分におけるジェンダーギャップについて一部で前進が見られるものの、その実態は数字に明確に表れている。
ハーバード・ケネディ・スクールの調査によれば、過去30年間において、女性のみで構成された創業チームが獲得したVC資金の割合はわずか2.4%にとどまる。さらに同調査は、米国のVCファームの4分の3近くに女性の投資パートナーが一人もいないという実態も浮き彫りにしている。
近年、女性創業のスタートアップによる資金調達額は過去最高水準を記録しているが、その大半は一握りの大型案件に集中している。ピッチブックのデータによると、2025年のVC投資額に占める女性創業企業のシェアは過去最高を更新した。しかし、その資金は依然として、知名度の高いごく一部の企業に偏っている。
ジョイナーは、こうしたデータがより本質的な課題を浮き彫りにしていると指摘する。「資金調達で最も効果的なのは、既存の投資家から紹介を受けることだ。しかし女性にとってそのネットワークはあまりにも限られている」と彼女は語る。
こうした投資家ネットワークへのアクセス不足により、多くの創業者は複数の資金調達手段を比較検討することや、より有利な条件を引き出すこと、さらには自らのビジョンや価値観を共有できる投資家を見極めることに苦労している。
人脈の重要性がこれまで以上に高まっている理由
ジョイナー自身、この課題の難しさを身をもって経験している。起業前、彼女は商業用不動産業界で15年のキャリアを積み、コロンビア・ビジネス・スクールでMBAを取得した。それでもなお、資金調達は容易でなかったという。「私でさえ苦労したのだから、そうしたネットワークを持たない創業者の苦労は想像を絶する」と彼女は語る。
各種調査は、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)が起業の成功を左右する重要な要素であることを一貫して示している。例えば、ハーバード・ビジネス・レビューは、プロフェッショナルな人脈がキャリア形成や新たな機会の獲得に不可欠であると指摘している。また、起業に関する研究では、ソーシャルネットワークが創業者の資金調達や知見の獲得、さらには事業成長に直結するビジネス関係の構築を後押しすることが実証されている。
これこそが、Fund Her Networkが解決を目指している課題だ。同社はAIを活用したマッチングにより、起業家が自社の事業内容に適した投資方針を持つ投資家とつながることを可能にすると同時に、投資家側にも厳選された案件へのアクセスを提供している。



