資金調達は、資金が必要になる前から始まっている
ジョイナーは、創業者によく見られる失敗として、資金調達の必要性に迫られるまで動き出さないことを挙げる。多くの創業者は手元資金が尽きかけてから慌てて動き出すが、本来はその数ヵ月前から投資家との関係を築く必要があるという。「投資家と創業者の関係は、信頼の上に成り立っている。まずはその信頼を築かなければならない」と彼女は語る。
つまり、資金調達を始める前からネットワーキングに取り組み、有望な投資家をリサーチし、継続的な対話の場を設けておく必要があるということだ。投資家は、正式なピッチが行われるずっと前から、創業者の評価を始めていることが多い。
また、準備も重要だ。ジョイナーは、創業者が自社の市場をよく理解し、ピッチを磨き上げ、成長戦略と投資方針が合致する投資家を特定しておくよう助言する。
女性起業家は資金規模を過小に見積もる傾向も
ジョイナーはまた、多くの創業者がよく耳にする「必要な分だけを調達せよ」という資金調達のアドバイスにも疑問を呈する。彼女は、株式の希薄化を抑え、経営権を維持することの重要性を認める一方で、女性起業家は大きな成長機会を捉えるために必要な資金規模を過小に見積もる傾向があると指摘する。
「男性起業家なら『1000万ドルを調達する』と宣言するところを、女性は『100万ドルあれば18ヵ月分の運転資金を確保できる』と考えがちだ」と彼女は語る。
ジョイナーは、調達額を目先の必要額に絞り込んでしまうと、チャンスが訪れた際に積極的な事業拡大へ踏み切れなくなることを危惧している。
投資家は創業者の何を見ているのか
ジョイナーによると、投資家との対話で重要となるのは、「信頼性」、「影響力」、「トラクション(事業の成長実績)」の3つの要素だという。
投資家がまず知りたいのは、「なぜこの創業者こそが、この課題を解決するのに最も適した人物なのか」という点だ。また、市場や顧客から信頼を獲得していることを示す証拠や、事業が着実に成長軌道に乗っていることを示すトラクションも重視される。
限られた時間で行われる投資家との面談では、創業者はこうした実績を裏付ける定量的な指標を真っ先に示すべきだ。アーリーステージのスタートアップであれば、売上成長率や顧客獲得数、ウェイティングリストの規模、あるいは黒字化に向けた進捗などが含まれる。「重要なのは、いかに投資家の期待感を駆り立てられるかだ」とジョイナーは語る。
総括
女性創業者にとっての課題は、単に資金を調達することではない。資金調達を可能にするネットワークや紹介、人間関係へのアクセスを確保することにある。
資金調達において目に見える成果は「資金」そのものかもしれない。しかし、その成否を左右するのは、「アクセス」の有無である。女性起業家による起業や成長資金への挑戦がますます活発になる中、「アクセスの格差」を埋めることは、「調達額の格差」を解消することと同等以上に重要な意味を持つことになるだろう。


