カナダとウクライナの国防省は先月29日、無人機(ドローン)製造に関する協定に署名した。カナダ政府は、両国の企業の専門知識を結集し「ウクライナが自国軍向けに開発した無人機をカナダ国内で製造する」と発表した。その上で、ウクライナとの防衛分野での協力が「重要技術の国内製造能力を拡大することで、カナダに新たな機会をもたらす」と強調。その見返りとして、同国は「ウクライナ軍が緊急に必要とする装備の供給を加速させている」と説明した。
ウクライナ政府は今年に入り、世界各国と無人機に関連する協定を結んでいる。イランが3月に中東各国の米軍基地に対して攻撃を仕掛けたことを受け、翌月にはウクライナが無人機の専門家をクウェート、ヨルダン、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)に派遣した。ウクライナはサウジアラビア、カタール、UAEと軍事協力協定も締結した。中東に続き、ウクライナはドイツとノルウェーとも防衛協定を結んだほか、英国、デンマーク、ルーマニアでの無人機製造施設の設立についても交渉した。
ウクライナが欧州や中東、カナダと結んだ協定は、同国が防衛産業で確固たる地位を確立しつつあることを示している。2022年2月にロシアがウクライナへの侵攻を開始した当時、同国の防衛産業の能力には疑問の声が上がっていた。
だが現在では、世界各国がウクライナの無人機技術を求めている。これは、ウクライナの無人機がロシアの侵攻に対する戦闘で常に活用されているためだ。ウクライナ製無人機は、ロシア軍が使用するイラン製無人機「シャヘド」に対抗し、実戦で実力を証明してきた。また、ウクライナの無人航空システムはロシア領内の弾薬庫、防衛装備、兵器工場、エネルギー施設を攻撃している。
カナダ・トロント大学のオレクサンドル・ロマンコ客員教授は筆者の取材に対し、次のように答えた。「海外の買い手は、単にウクライナの無人機を購入しているだけではなく、実戦で実証された革新技術を入手しているのだ。これらの買い手は、電子戦、防空、砲兵、装甲車両、後方支援拠点、艦船、そして長距離目標に対して実力が実証されたシステムを購入している。こうした戦場での実証は、平時の調達では再現することが極めて困難だ」
ウクライナの無人機は費用対効果にも優れており、世界中で需要が高まっている。ウクライナ製の一人称視点(FPV)無人機の価格は300~400ドル(約4万9000~6万5000円)で、同国製の迎撃無人機「スティング」の価格は約2500ドル(約40万円)だ。これに対し、ロシア製のシャヘド型無人機は約5万ドル(約810万円)、米国製の地対空ミサイルシステム「パトリオット」は300万ドル(約4億9000万円)以上する。桁違いの価格差があるにもかかわらず、ウクライナ製無人機はロシア軍の歩兵の捜索や装甲車両への攻撃などで活躍している。



