ロシアの侵攻によって、ウクライナの防衛産業は適応を余儀なくされてきた。侵攻開始当初、ウクライナはロシア軍のミサイル攻撃から自国の民間人を守るために無人機などの装備を製造していた。英BBCによると、民間人は自国軍を支援しようと、自宅や車庫、店舗などでFPV無人機を組み立てていたという。その後、ウクライナは無人機技術を改良し、製造施設も設立された。製造拡大に伴い、ウクライナ製の無人機はさらに微調整と改良が重ねられ、防衛だけでなく攻撃にも活用されるようになった。
ロシア軍との戦いでウクライナ製無人機の有用性が明らかになり、世界各国で次々と防衛関連の協定が結ばれる中、米国もウクライナと無人機取引の可能性を概説した覚書を起草した。だが、明確な協定はまだ結ばれていない。先月31日に米CBSニュースの取材に応じたウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、空・陸・海用無人機システムの試験条件で米国と合意したと明らかにしたが、最終的な協定の締結には至っていない。仮に最終的な合意が成立すれば、両国にとって有益なものとなるだろう。
米国に拠点を置くウクライナ支援団体、ボフク財団のユリー・ウォウチュク所長は筆者の取材に次のように答えた。「ウクライナにとっては、多額の外国資本による投資、技術移転の機会、米国の防衛設備との統合、そして同国の非政府組織(NGO)や民間企業、教育機関との協力の機会がもたらされるだろう。一方の米国にとっても同様の利点があるが、恐らく最大の利点は、実戦を経た装備や関連する情報の入手、ウクライナの工学技術力の取得、同盟国としての関係強化、そして米国の防衛分野に存在する技術格差を埋めるための最も効率的な手段を得られることだろう」
米国とウクライナの無人機取引に関する決定がいつ下されるかは不明であり、合意が最終的に成立するかどうかについても定かではない。とはいえ、米国防総省が無人機技術に関する助言をウクライナに求めているという事実は、同国が無人機産業で指導者としての地位を確立したことを示唆している。カナダとの防衛協定を締結したウクライナは、次は米国との間で「ドローン外交」の新たな成果を挙げたいと考えている。


