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経済・社会

2026.06.23 13:15

『戦後敗戦』著者・船橋洋一が語る、地経学で見抜く「経済の武器化vs.日本」

船橋洋一氏 写真=的野弘路

次の武器化する「海峡」とは

――石油危機で、省エネ技術が発展するなど良い副作用をもたらした一方、経済成長が終わり、1985年にはプラザ合意で更なる敗戦、しかもかなり後遺症が長引く負け方となります。
 
船橋:吉田ドクトリンの成功物語から転換できなかったことが大きいと思いますね。マインドセットができなかった。
 
­­――吉田茂首相が戦後の復興期にとった「軍事面(安全保障)はアメリカに依存し、自国は軽武装にとどめ、国力を経済開発・発展に最優先で集中させる」という国家の基本方針・外交戦略ですね。
 
船橋:これはこれで成功したのですが、日本が経済復興して世界2位の経済大国になったものの、成功体験が長すぎた結果、世界が激変しても「アメリカにお願いすればいい」という依存体質から抜け切れることができなかった。独立自立の精神のマインドセットができなかった。これに尽きると思います。
 
――石油危機の教訓として、国家ビジョンを打ち出せなかった?
 
船橋:教訓を全く活かせなかったわけではないんです。1974年のIEA(国際エネルギー機関)の創設に、当初日本は消極的でした。しかし、大平さんと中曽根さんが参画を主張して、創設時の加盟国となり、戦略備蓄協調では日本は最優等生です。
 
ただ、第一次石油危機の時がアッパーカット型の衝撃だったとしたら、今回のホルムズ海峡の危機はボディブロー型の打撃です。
 
――ボディブロー型?
 
船橋:まさかアメリカが攻撃してくるとは思わなかった。それがナフサ危機という結果を招いた。これが怖いのは、ホルムズ海峡だけではなく、世界のこれはという海峡は同じように武器化され、地経学的なパワーを帯びてしまうことです。
 
今、サウジアラビアにしてもUAEにしても、ホルムズ海峡を回避するため、サウジアラビアのパイプラインなどを経由し、紅海からインド洋へ抜ける迂回ルートを活用しようとしています。しかし、イエメンの親イラン武装組織「フーシ派」が紅海のタンカーを攻撃したように、イランは自分たちが攻撃しなくても、フーシがやる。パイプラインで迂回したとしても、いつでもそれをやれるという意思次第で攻撃できる者たちがいる。だから、ホルムズ海峡だけでなく、連鎖していく可能性があります。
 
台湾海峡、パナマ海峡も国家の意思によって緊張がもたらされることはあるでしょう。

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文=藤吉雅春

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