大会の進行とともに、この2大スポーツウェアブランドによる究極の対決はピッチ上ではなく、小売市場やSNSが主戦場となる。両ブランドが異なる戦略を展開する中、接戦となるだろう。アディダスはサッカーへの情熱を前面に押し出し、ナイキはより広範な文化的背景をアピールしている。
「勢いに乗るアディダスは、スポーツ分野における実績に裏打ちされた確固たる自信に支えられて、サッカー界で立場を確立している」と米老舗ブランドコンサルティング会社リッピンコットのパートナー、エリック・ツィツィリンはマーケティング専門メディアの米Marketing Diveに語った。「一方、事業の各方面で大きなプレッシャーに直面しているナイキは、サッカーを自社の世界観の中へと引き込もうとしている」
小売対決、北米市場ではやはりナイキが強い?
小売分野でアディダスとナイキの目指す方向性は異なっている。
アディダスはスポーツとの結びつきを強く打ち出し、W杯では全米に約700店舗を展開する米スポーツ用品小売チェーン最大手ディックス・スポーティング・グッズと提携。共同で、リオネル・メッシやラミン・ヤマル、米女子代表のトリニティ・ロッドマン、元選手で現在は米女子プロチーム共同オーナーのブリタニー・マホームズとNFLスターのパトリック・マホームズ夫妻、米元代表のコビ・ジョーンズらを起用したメディアキャンペーン『Where it All Kicks Off(すべてはここから始まる)』を発表した。ディックスはW杯開催都市の店舗でプロモーション活動やイベントも開催する。
アディダスは米老舗百貨店ノードストロームとも提携し、35店舗で専門の売場を展開するとともに体験型マーケティングイベントを毎週開催。さらにニューヨーク、ロサンゼルス、トロント、アトランタ、ヒューストン、メキシコシティー、グアダラハラ、モンテレイに入場無料の特設ファンゾーンを独自に開設し、大会期間を通して試合観戦や飛び入り参加歓迎のミニゲーム、ブランド体験を楽しめる機会を提供している。
アディダス北米本社のジョン・ミラー社長は、こう語る。「14カ国のサッカー連盟、公式試合球、スタジアム内での幅広い影響力、そして次世代の製品技術。これらを擁するわが社はサッカー界を代表するブランドであり、その存在感は今夏、あらゆるピッチ上で誰の目にも明らかになる」


