リーダーシップ

2026.06.21 15:57

なぜ「やり切る力」がイノベーションを超えるのか

stock.adobe.com

stock.adobe.com

多くの企業が倒れるのは、悪い戦略が原因ではない。たいていは、自分たちが「やる」と言ったことを日々やり切れない失敗が1000回積み重なった結果である。

かつて筆者は、事業オーナー向けに戦略、リーダーシップ、個人の生産性に関するワークショップを運営していた。そこでは、イノベーション、リエンジニアリング、将来トレンド、新技術といった、新奇さを好む人々をわくわくさせるテーマを語った。だが、何年も経ってからリーダーたちが筆者に持ち出してくる話題は、はるかに華やかさのないものだった。

話題は、マネジメントの実践を扱った書籍『What Really Works』だった。同書は、「エバーグリーン・プロジェクト」と呼ばれる5年間の研究に基づいている。著者たちは10年にわたり160社を観察し、成功のための4つの原則を導き出した。戦略を明確にして焦点を絞ること、完璧に実行すること、成果に基づくカルチャーを築くこと、組織を迅速でフラットにすること。その中でとりわけ関心を呼んだのは何か。完璧な実行である。

プロジェクトの調査結果によれば、最も高い成果を上げた企業には共通点が1つあった。彼らは約束を、常に100%守ったのである。一貫した実行は、ムダを減らし、生産性を高め、利益率を改善することを可能にした。「一貫して利益を出す」という発想は、どんな気の利いたツールよりも会場を沸かせた。議論が進むにつれ、参加者は日々の規律が静かに摩耗していくことへの苛立ちを語り始めた。リーダーたちは、本当の競争優位が、週を重ねてもチームがやり切ることを確実にするという、華やかさのない仕事から生まれると気づいた。そしてそれこそが、難題なのである。

「重要な少数」がなければ、一貫性は崩れる

誰もがパレートの原理を知っている。価値の80%は、完了した活動の20%から生まれる。これは、何をするにせよ、最良の成果を生む活動の小さな集合、すなわち「重要な少数」を磨き込むことに注力すべきだという示唆である。SMBのリーダーたちに、マネジャーに何を期待するのかを尋ねると、答えは大体こうなる。あらゆるチーム、あらゆるシフト、あらゆる拠点で、日々の重要行動を一貫して実行してほしい、というものだ。

すでにその前提で動いている部門もある。例えば営業チームは、価値を生む一貫した行動を理解している。面談設定、提案のフォロー、パイプラインの追跡、コンバージョンの測定。CRMシステムにより、こうした行動はリアルタイムで高い可視性を持ち、行動と結果のつながりは誰の目にも明らかである。だがオペレーションでは、離職率、手戻り、安全事故といった遅行指標が見える頃には、それを引き起こした行動は数週間前に起きている。(不)活動と結果のつながりが透明化されていなければ、迅速な説明責任は不可能だ。営業でそのような可視性の欠如を許すことはないのに、ほとんどの組織は他の領域ではそれを受け入れてしまっている。

四半期レビューに十分な回数同席すれば、このパターンは見落としようがない。経営チームがその四半期の「ロック」を設定し、そして4〜8週目のどこかで、エネルギーが漏れ出していく。何が起きたのか。四半期は明確な優先順位と高い熱量で始まり、マネジャーたちはハドル、コーチング面談、パフォーマンスレビューの時間を確保していたはずだ。だが、緊急の顧客課題、メールの滞留、事務作業が積み上がると、日々の活動の渦があっという間に支配的になる。1回欠けたハドルは2回になる。コーチングの会話は、火消しを優先して先送りされる。パフォーマンスデータの更新は「時間がない」という理由で止まる。四半期末にはまた、結果は意欲に届かない。

日々の目に見える強化がなければ、人は反応的なモードへと戻っていく。一貫性を生む裁量的な行動は、その瞬間の危機より緊急度が低いように感じられるため、真っ先に失われる。そして遅行指標が追いついたときに、事態が表面化するのだ。

実行は日々の習慣である

月曜の朝に出社し、正しい行動に意図を集中させ、その日に3回それを実行するマネジャーは、職責を果たしている。これを240稼働日連続で行うマネジャーは、事業を変えている。ほとんどの人は、助けなしに後者をやり切れない。

難しくする要因は2つある。1つ目は、組織を一定規模で運営することに伴う渦、すなわちノイズである。Asanaのレポート「Anatomy of Work Index」によれば、従業員は1日の半分以上を、事務作業、会議、さまざまな重要度の低い活動の対応に費やしている。2つ目は、人は単純に重要なことを忘れるという点だ。火曜の午後に「朝7時に何に意図を置いたか覚えているか」と誰かが問うことはなく、3日連続で反応的モードに流されていても誰も気づかない。誰もそのリズムに反対しているわけではないのに、つなぎ止める構造がないために、リズムが崩壊するのである。

欠けている「強化」の層

マネジャーによる強化こそが、実行を散発的な行動から日々の習慣へと変える構造である。モチベーションが自然に低下していく中でも重要行動を生かし続けるために、リマインド、リアルタイムのフィードバック、可視性を提供する。これがなければ、人間の注意力には限りがあり、渦は容赦がないため、最善の仕組みでさえ機能しなくなる。

規模の大きい組織でマネジメントの一貫性を実現するには、3つが必要だ。必須行動を正しく実行するスキル、リズムを維持するコーチングの存在、そして実行したかどうかが問題になる説明責任の構造。3つはいずれも、同じ基盤の上にある。各マネジャーが日々実際に何をしているかの可視性である。

優れたマネジャーは、現場に出向き、簡素な日次チェックインのツールを運用し、構造化された1対1に時間を割くことで、これを実現している。こうした軽量な仕組みは、事務負担を増やさずに良い行動を可視化する。だが、それらは経験的であり、気づきと直感に依存するため、実証的ではない。AIの活用は、データを取り込むことで、こうした良い実践を組織が変革する手段となり得る。例えばコーチング・インテリジェンスが、毎日、すべてのリーダーのそばにいて、日々のコミットメントの質と妥当性についてガイドすることができる。コミットメントはロックと整合しているか。具体的か。新規施策や能力開発に比べ、「通常運転」に焦点を当てたものはどれほどあるか。

真の競争優位

今後10年で優位を複利で積み上げる可能性が高いのは、より良いアイデアを持つ組織ではない。四半期の7週目の火曜午後、誰も見ていないときに、人々が自分たちの言ったとおりにやる組織である。成功とは、常に、約束を100%果たすことにある。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事