インフルエンサーマーケティングは、多くのブランド予算の中でより大きな割合を占めるようになっている。例えばユニリーバは2025年、マーケティング予算の50%をインフルエンサー施策に投じると発表した。
こうした投資は、インフルエンサーコンテンツをより「働かせる」ことができて初めて成り立つ場合が多い。ユニリーバのCEOは、同社が「多様なクリエイター、量、バイラル性、コンテンツのスピード」を優先すると説明している。
インフルエンサーコンテンツを再利用すれば、量とスピードの双方を実現できる。コンテンツクリエイターに一度だけ作ってもらい、そのまま埋もれさせるのではなく、再利用によって影響力、リーチ、価値を最大化できるのだ。
筆者は、インフルエンサーとのパートナーシップを基盤に、実際の成果を伴うインパクトのあるキャンペーンを構築するブランドを数多く見てきた。ここでは、この手法がブランドにとって有効だった6つの方法を紹介する。
1. SNSでシェアし、リポストする
通常は、まずインフルエンサー自身のチャンネルでキャンペーンを投稿してもらうのがよい。そうすることで、インフルエンサーのオーディエンスにリーチできる。しかし、ソーシャルでのリーチはそこで終わりにすべきではない。
自社のチャンネルでも必ずリポストすべきだ。複数のプラットフォームに、複数の形式で投稿することで、最大限に活用できる。
ショート動画は好まれる消費形態であり、視聴者の85%が15秒以下の動画を好む。1本のインフルエンサー動画も、切り抜いてInstagramストーリーズ、YouTubeショート、TikTok動画として共有し、長尺コンテンツの予告として何度も再利用できる。
コンテンツが時期限定のものでないなら、オーディエンスの反応が得られると判断したタイミングで投稿すればよい。このような戦略により、追加のインフルエンサー提携費用をかけずに、複数プラットフォームで多様で新鮮なコンテンツを維持できる。
2. メールキャンペーンに組み込む
メールマーケティングには高いROIの可能性がある。メールは自社保有チャネルであり、リストに自ら登録した消費者に直接語りかけられる場でもある。
多くの消費者が、ブランドのメッセージよりも信頼しているインフルエンサーコンテンツを、メール戦略の一部として活用するのは理にかなっている。
具体策としては、以下が挙げられる。
・信頼性と社会的証明を高めるため、メール内にインフルエンサーの体験談や商品推奨を掲載する
・購読者を教育するため、インフルエンサーが作成したチュートリアルをメール内に組み込む
・インフルエンサー限定の割引コードを提供する
3. ブログ記事やコラムで取り上げる
多くのブランドが注目を集めるためにショートコンテンツを増やしている一方で、ブログ記事や長文コンテンツの制作には、検索エンジン最適化(SEO)とユーザー体験の面で依然として大きな価値がある。
インフルエンサーにコンテンツを制作してもらう際は、ユーザーの意図に焦点を当て、検索されがちな一般的な質問に答えるなど、戦略的に開発されるよう協働できる。FAQ、製品レビュー、チュートリアルといったコンテンツは、有用なコンテンツ制作に適している。
例えば、インフルエンサーへのインタビューやポッドキャストでの対談を、SEOと長文でのエンゲージメント獲得のために文章化したブログコンテンツにできる。インフルエンサーの引用、ヒント、意見は、ブログ記事に信頼性と新鮮な視点を加える。協業によって、記事内に「トップピック」「お気に入り」「必携アイテム」といったインフルエンサー選定リストを盛り込むことも可能だ。
4. 広告に活用する
インフルエンサー広告は、感情面でより強く響くことが多い。あるインフルエンサーマーケティング代理店が委託した調査では、インフルエンサー広告は従来のTV広告よりも「感情の強度」が277%高いと示された。製品がどのように違いを生んだのかという実体験のストーリーを見聞きすると、反応する可能性が高まる場合が多い。
クライアントと取り組むなかで、筆者のチームはインフルエンサーコンテンツを有料広告に再利用する利点を確認してきた。このプロセスを容易にするツールも存在し、パフォーマンス面でも有効になり得る。筆者のチームでは、クリック率が2倍以上に増え、クリック単価は半分以下に減少した事例を見ている。
インフルエンサーコンテンツを広告に転用する際の最初のステップは、そのための適切な使用権と許諾があることを確認することだ。オーガニックでの成果が高かったインフルエンサー投稿を優先し、信頼性を維持するために、可能な限りインフルエンサー本来の声、スタイル、個性を保つことが重要である。
インフルエンサーコンテンツを有料広告に結び付けることで、広告コンテンツからのクリックやエンゲージメントを直接追跡でき、キャンペーン指標とパフォーマンスデータをより確実に把握できる。
5. オフライン素材に展開する
デジタル上の接点と小売の場を結び付けることには意味がある。ブランドがすでに消費者との間に築いている関心と親和性を強化したいはずだ。消費者が、同じインフルエンサーや類似のコンテンツを対面で目にすると、同様のエンゲージメントやつながりが喚起される可能性がある。
オフライン体験の信憑性を高めるために、店頭サイネージやイベントブースにインフルエンサーが制作した画像を用いることを検討したい。パッケージや印刷物のマーケティング素材にも、インフルエンサーの写真、体験談、引用を掲載して信頼を醸成できる。数年前、アスレチックアパレル小売のジムシャークは、フィットネスインフルエンサーのリアナ・ディーブを看板広告に起用した。
調査によれば、信頼されるブランドは競合を最大400%上回る成果を出す。ゆえに、一貫性があり魅力的なオムニチャネル体験を構築してこのつながりを生み出すことは、十分に報われ得る。
6. 体験談やケーススタディにする
インフルエンサーコンテンツを体験談に転用するのが有効なのは、信頼性、ストーリーテリング、実使用の文脈が融合するからである。従来のレビューと異なり、インフルエンサーコンテンツは実生活のシーンで製品を見せることが多く、説得力と共感性が高まる。
これを効果的に行うには、実使用が示され、強いエンゲージメントを得たインフルエンサーコンテンツを特定することから始めるべきだ。課題、解決策、体験、最終結果が示される構成になっていることが望ましい。
インフルエンサー主導のケーススタディは、ブランドサイト、商品ページ、ランディングページ、さらには営業用資料にも掲載できる。重要なのは、インフルエンサーの声の真正性を保ちながら、常設(エバーグリーン)のマーケティング・セールス素材として有用になるだけの構造を加えることである。
インフルエンサーへの支出を増やす流れは今後も続き、インフルエンサーはマーケティングキャンペーン全体の計画と成功において、より大きな役割を担うようになる可能性が高い。ブランドにとって最大の成功は、インフルエンサーコンテンツを再利用し、最大化することで、最も大きく、最も効率的なインパクトを生み出すことからもたらされる。



