SUVの、特に都市部における倫理性について、あなたがどのように感じていようとも、人々がSUVを購入する主な理由は、高い運転位置と広い室内空間にある。iX3は、後者に対する期待に応え、後部座席の乗員にも十分な空間を確保した。しかし、パノラミックサンルーフが単なるスモークガラスであり、iXのオプションとして用意されているような調光機能(エレクトロクロミック・シェード)を持たないことは残念だ。
荷室容量もたっぷりだ。後部座席を立てた状態で520リットル、倒せば1750リットルに拡がる。iX3より車体サイズが大きなiXと同等だ。後部座席は40:20:40の分割可倒式なので、後部座席に2名が乗車しながら、長尺物を運ぶことも可能だ。車体前部には容量58リットルの「フランク(フロントトランク)」も備わっており、小型の旅行かばんなら十分に収容できる。また、iX3の牽引能力は、ブレーキ付きトレーラーなら2000kgまでとなっており、キャンピングカーを牽引するには十分以上だ。
サステナビリティ(持続可能性)が最重要事項
「本当のサステナビリティ」であるか、という点は、EV反対派が電気自動車を批判するために用いる多くの論点の1つだ。EVは製造過程で(従来の内燃自動車より)多くの炭素を排出しなければならないと、EV反対派は主張する。確かに、バッテリーの製造は二酸化炭素排出量が多いが、これに関してもBMWは対策を講じてきた。同社はサプライチェーン全体におけるサステナビリティへの取り組みを長年続けており、2700社の一次サプライヤー(完成車メーカーに直接、部品やシステムを供給する企業)と協力して炭素排出量の削減に取り組んできた。
BMWは、2021年に発表したコンセプトカー「i Vision Circular(i ビジョン サーキュラー)」をはじめ、ここ数年、循環型経済の先駆的な役割を担ってきた。同社は現在、製品が寿命を終えた後のリサイクルを念頭に置く設計に取り組んでおり、例えば、座席の糸、接着剤、繊維に、ペット樹脂という単一の素材を採用することで、リサイクル前にこれらの素材を分別する必要がなくなる。また、アロイホイールの70%は二次原料の再生アルミニウムからできているほか、古くなった漁網やロープから回収された再生プラスチックも、エンジンルームのカバーやボンネット下の収納スペースの熱可塑性プラスチック部品に使用されている。
iX3には第6世代の「BMW eDrive」電動アーキテクチャが使われており、そのバッテリー製造における二酸化炭素排出量(ワット時あたりの二酸化炭素換算排出量)は、第5世代バッテリーセルに比べて42%削減されている。これらによって、iX3 xDrive 50の生産過程で発生する二酸化炭素量は13.5トンにまで抑えられた。比較のために挙げると、同等クラスのガソリンエンジン車「X3 20 xDrive」の生産過程で発生する二酸化炭素量は9.9トンとiX3より確かに少ないが、通常の使用をわずか1年間続けるだけで、環境負荷は逆転する。再生可能エネルギーのみで充電すれば1万7500km、世界の平均的な電力供給下でも2万1500kmの距離を走行したら、二酸化炭素の総排出量は、X3がiX3を上回る(いずれも国際基準のWLTP複合モードに基づく走行を想定)。


