今年3月、ある人物は「公共交通機関で眠るアジア人」というタイトルの写真ブログを始め、「アジア人は遺伝的にナルコレプシー(日中にも強い眠気に襲われる睡眠障害)を発症しやすい」という説を唱えた。これには、アジア人スタッフを多く抱える、欧米企業のマネージャーたちも動揺している。
アジア人はなぜ公の場で眠るのか。台湾の睡眠の専門家らは、台湾やその他の東アジア地域で人々が日中、居眠りをする原因を2つ挙げる。1つは、夜に落ち着いて眠れない環境にあったり、昼寝は必要なものとして育った幼少期からの睡眠習慣。2つ目の原因は、主要都市の夜間の騒音の問題だ。
台湾の幼稚園では昼食後、子供たちは1時間半から2時間昼寝をすることになっている。小学校でも、生徒は机に突っ伏して眠るよう求められ、昼寝の習慣を続ける。
机での睡眠が、生徒にはベストな眠りだという可能性もある。例えば、ある子供は一人で眠るのが嫌で、病院勤務の親が遅いシフトを終えて帰宅するのを待っているかもしれない。「お父さんが大好きで、お父さんの帰りを待って、いつも遅くまで起きているという子を私は知っています」と、台湾の小学校教諭で睡眠の専門家であるChung Dan-lanは話す。
台湾では家族が一緒に寝ることが多く、それが子供の眠りを妨げる一因となっている。大人は子供が就寝した後もテレビを見たり、仕事に向かうために早朝に起きるため、深夜と早朝にも子供の睡眠は妨げられる。そういった家庭の子供たちは、学校での昼寝タイムが待ちきれず、車やバスでも眠ることになる。
Chungによると、大学でもクラスの半数が午後の講義で居眠りをしているとのことで、自分もその1人だったことを認めている。
昨年のTaiwan Journal of Public Healthの報告によれば、台湾では修学前児童の平均睡眠時間は、平日の夜は9時間26分で、一晩当たり10時間以上寝る子供は11%に過ぎない。アジア地域に住む子供のうち、寝室で1人で就寝する子供はたった4%というデータもある。2011年の報告では、調査対象の17ヵ国中、最も睡眠時間が短いのは日本の子供たちだった。