キャリア・教育

2026.08.01 15:15

「r」「l」より「gy」「zy」や「f」「h」。日本人がすぐに『発音し分けられる』英語はこれだった

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次は「f」と「h」

次に高市首相の発音で特徴的だったのが、「FOIP」である。「FOIP」は「Free and Open Indo-Pacific」の頭文字を取った略語である。この単語の発音で躓くのは「f」と「h」の発音の違いである。この発音が複雑である原因の一つは日本語の「ふ」の発音の複雑さにあると考えている。

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例をあげてみる。例えば「お布団(おふとん)」と「復路(ふくろ)」である。ぜひこの記事を読みながら両方を発音し、それぞれの「ふ」の音の違いに意識を向けてみて欲しい。日本語の「ふ」は上唇と下唇をすぼめ、すぼめた唇の間から空気を押し出すように発音する。そして「おふとん」と「ふくろ」の違いは口のすぼめ方、すなわち押し出す空気の量に違いがあるといえるだろう。「おふとん」の「ふ」を発音する際は下唇の力は抜き気味となり、押し出す空気の量は多めだ。一方で「ふくろ(復路)」と発音するときはどうだろう。筆者は「おふとん」と発音する時よりも下唇には力が入っており、押し出す空気はより鋭くなっている。そしてこの「ふくろ」の「ふ」は英語の「f」の発音に非常に近くなる。

しかしここで注意しなければならないのは、英語の「f」の発音は日本語の「ふ」の音とは根本的に異なっているという点である。日本語の「ふ」の音は「おふとん」も「ふくろ(復路)」も下唇が上の歯に当たることはないが、英語の「f」の発音は、下唇と上の歯の間から空気を押し出すように発音する。別の言い方をすれば、英語の「f」の発音は、下唇を上の歯に当て、そこから空気をはじき出すように音を作る。「ふ」は下唇と上唇で音を作るが、「f」は下唇と上の歯で音を作ることになる。

この「f」の発音をややこしくするのは日本語の「ふ」の音は英語では「h」の音となるということである。すなわち、FOIPの「f」を日本語の「ふ」のように発音すると、英語では「HOIP」と聞こえてしまう、ということなのだ。たとえば高市首相は英語のスピーチでこのFOIPという単語を4回使った。そのうち、一つははっきりと「FOIP」と聞こえ、一つは「HOIP」と言っているように聞こえてきた。

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この「f」の発音も「r」や「l(エル)」のようにそもそも発音が難しいのではなく、正しい発音を知り、意識するだけで大きく改善が得られる発音となる。

さてここで、発音に自信がないことが原因で私の英語は「ダメ」と感じてしまっている英語学習者への補足を行いたい。

発音の正誤が英語のコミュニケーションにどのように影響するか、という点である。まず対面のコミュニケーションに置いて、言語が締める割合は30%程度であると言われている。すなわち、コミュニケーションの70%が非言語で行われている、ということだ。従って、30%の内の「r」や「l(エル)」、「gy」と「zy」、さらには「f」と「h」を混同してしまったからと言って、コミュニケーションが大きく後退したり、すれ違ったりしてしまうことはまず考えられないだろう。筆者もそのような経験は一度もない。

ではコミュニケーションにおいて、このような発音がどのように相手に影響を与えているのか、ということだが、一つは「あ、発音を間違っているな」という考えが直観的に頭に浮かぶ、ということがあげられる。なのでメッセージの伝達を一瞬妨げる、ということだ。

筆者はシンガポールイングリッシュなども存在していることから、日本人らしい英語の発音が存在してもいいと考えている。また、発音のうまい下手で英語のコミュニケーションを避けるのは英語の習得を妨げてしまう、と考えている。

一方で今回このような発音への助言を行ったのは、英語力が向上すればするほど、発音の正しさがコミュニケーションのさらなる円滑化に繋がることも事実であるため、本稿では比較的修正が容易な発音を取り上げさせてもらった。

次ページ > 言葉の行間を整える──「強い」の曖昧さ 

文=松樹悠太朗 編集=石井節子

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