おわりに
冒頭の問い、「AIは何言語まで理解できるのか」を改めて問うならば、Unicodeという文字コードの拡張性に期待すれば、理論上無限に近い数の言語を扱うことはできると思います。
しかし、「理解」とは扱いの先にあるもので、私たちがこの問いを立てるとき、実は「人類は世界の国や地域の文化をどこまで網羅的に伝える覚悟があるのか」を問うことにもつながります。万博で経験したような小さな出逢いの一つ一つは、その国や地域の文化に関心をもつきっかけを与えてくれました。文字コードが、いろいろな国や地域の言語を手元のスマホ画面に広げてくれる「持ち歩ける小さな万博」になり得ることを期待しています。
編集部注:国際標準化バトルの世界史については『ユニコード戦記』(小林龍生著、東京電機大学出版局刊)にも詳しい。

塩瀬隆之(しおせ・たかゆき)◎京都大学総合博物館教授。京都大学工学部精密工学科卒業、同大学院工学研究科修了。2018年より経済産業省産業構造審議会イノベーション小委員会委員および若手WG座長、特許庁知財創造教育調査委員、文化庁伝統工芸用具・原材料調査委員、日本医療研究開発機構プログラムオフィサー、2025年大阪・関西万博政府日本館有識者など。2017年度文部科学大臣表彰・科学技術賞(理解増進部門)ほか、受賞多数。著書に『問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション』(学芸出版社、2020年)、『未来を変える 偉人の言葉』(新星出版社、2021年)。



