万博が教えてくれたのは「出逢いが書き換える境界線」
2025年の大阪・関西万博には158の国と地域が参加を表明しました。もちろん、この数は国連加盟国193カ国、加盟していない国・地域50以上に比べればまだまだ少ない。何カ国集まると「万国」と呼ぶのかが気になって国際博覧会の定義を調べてみると、「二カ国以上が参加して開催すること」としか定めがないことに拍子抜けした反面、そうとしか表現のしようがないことも予想がつきました。
それでも万博では、普段の生活では触れることのない国や地域の言語や文化に出逢える機会であったことは間違いありません。そしてその出逢いによって、折に触れて頭に浮かぶ国や地域の数が増えました。ラグビーのハカで耳にしたことがあるニュージーランドのマオリ語は、実際には話者が少なく危機言語の一つであることを知りました。コモンズ館のワークショップで出会ったカーボベルデというアフリカの国では、ポルトガル語とともにカーボベルデ・クレオール語が話されていることも知りました。カーボベルテについては、初出場したサッカーW杯2026で強豪スペイン相手に堂々勝ち点を得る闘いを見せたことで、ますます気になる存在になりましたが、試合観戦中も「ポルトガル語とスペイン語の類似性を考えれば、この2チームの選手同士は直接会話できるのだろうか」などと気になりながら中継を見ておりました。
不思議なもので、その国や言語に少しでも触れたあとに、文字コードの話をするにしても、「これらの言語はUnicodeに登録されているのか」が気になってきました。英字ベースの言語は比較的扱いやすいので、マオリ語の「Ā」がUnicodeに登録されていることを知って、少し安心しました。同時に、この一文字が「生命の源である森林」という大切なものを意味することも分かり、その土地の人々が何を大切にしようとわざわざ言語化するのか、その国や地域の人々の価値観に触れたような気がしました。
言語を知ることは、その言葉を話し、書き記そうとする人々が何を大切に残そうとしているか、その文化を知ることでもあります。だとすれば、上限なくできるだけたくさんの言葉を知る機会があれば、それだけたくさんの人々が大切にしていることを知る機会も増えるはずです。


