欧州

2026.06.19 11:00

新欧米派の首相が勝利したアルメニア総選挙、ロシア離れが鮮明に

米首都ワシントンのホワイトハウスで会談した同国のドナルド・トランプ大統領(左)とアルメニアのニコル・パシニャン首相。2025年8月8日撮影(Andrew Harnik/Getty Images)

米首都ワシントンのホワイトハウスで会談した同国のドナルド・トランプ大統領(左)とアルメニアのニコル・パシニャン首相。2025年8月8日撮影(Andrew Harnik/Getty Images)

最近実施されたアルメニアの総選挙が国際的にこれほど大きく報じられていることは、何も不思議ではない。これは多くの面で、とりわけ地政学的に極めて重要な転機となり得る出来事だ。ハンガリーの総選挙と同様、起こり得るドミノ効果は周辺地域にとどまらず、世界に大きな変化をもたらすかもしれない。

アルメニアの選挙では、現職のニコル・パシニャン首相が得票率49%で勝利した。過半数にはわずかに届かなかったものの、政権を維持するには十分な得票数だった。他方で、選挙公約にあった憲法改正に必要な圧倒的多数の議席を確保するには至らなかった。

なぜアルメニアの選挙が世界的に注目されるのだろうか?

第一に、ロシアは親欧米派のパシニャン首相を引きずり下ろすため、絶え間ない偽情報や闇資金など、プロパガンダの力を総動員した。挙句の果てには、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がアルメニアに対し、「われわれは現在、ウクライナを巡って起きたことを目の当たりにしている。その発端は何だったか? それはウクライナが欧州連合(EU)に加盟しようとしたことがきっかけだった」と、露骨に脅迫した。言い換えれば、アルメニアがロシアの支配下にとどまるのではなく西側諸国と同盟を結べば、ウクライナと同じ運命をたどることになるというのだ。アルメニア国内にはロシア軍基地が存在し、あらゆる圧力があるにもかかわらず、国民はロシアから距離を置く方向へと投票した。

さて、ここに今回の選挙から得られる最初の地政学的教訓がある。2012年末に隣国のジョージアで行われた選挙とは異なり、今回の選挙では親ロシア派の新興財閥オリガルヒが勝利したわけではない。ジョージアでも同様の情報戦や脅迫が繰り広げられたが、オリガルヒは今もロシアの資金で同国を支配している。

それから14年を経て、世界はロシアの干渉を無視する方法を学んだ。ハンガリーのオルバン・ビクトル前首相の失脚はその好例だ。長い時間がかかったが、潮目は確かに変わりつつあるようだ。皮肉なことに、ウクライナ侵攻での失策とプーチン大統領の影響力の縮小は、ロシア大統領府(クレムリン)の脅威に逆効果となった可能性が高い。

もし欧州がこれまでと同様に優柔不断な態度を取り続けていたら、アルメニア国民は欧州からの支援を期待しなかっただろう。しかし、欧州は明らかにプーチン政権に抵抗するウクライナを支援している。それがアルメニア人に勇気を与えているのだ。当然、それ以外にも重要な考慮事項がある。何より、アルメニア国民は、米国のドナルド・トランプ大統領が声高に、そして明確に自分たちを支持していることを実感している。アルメニアの選挙に先立ち、トランプ大統領は「7日の再選に向け、パシニャン首相を全面的に支持する。われわれは同首相の協力を得て、米国、アルメニア、南カフカス、中央アジアをかつてない高みへと導く。アルメニアを再び偉大な国にしよう」と表明した。 

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翻訳・編集=安藤清香

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