米国の戦略の再調整──「鉱業優先」は採掘だけを意味しない
このモデルが重要なのは単なる資源採掘にとどまらないからだ。これはカザフスタンと米国の関係にとって、また中央アジアにおける対中競争という点でも好材料だ。だが米国の政策立案者は手放しで喜んでいられない。このモデルは意図せず「鉱業のエコシステムは概ね自ずと整う」という誤った教訓を植え付けてしまうという懸念材料もある。受け入れやすい投資エコシステムの構築において、主導権を握ったのは主にカザフスタン側だった。モデルを受け入れる国の政府がそれを実現できない他の発展途上の地域では中国が独自のエコシステムを持ち込むことになるだろう。これに見合うほどの取り組みを米国が行う可能性は依然として低い。
新興市場における鉱業投資には政治・財務的リスクが伴う。重要鉱物をめぐる戦略競争ではそのリスクを受け入れる必要がある。長期的なコミットメントがなければ本格的な産業再編は起こり得ない。米国は現在、重要な戦略的選択を迫られている。もし米国が確固たる重要鉱物サプライチェーンを望むなら、鉱山そのものにとどまらない投資を行わなければならない。「鉱業優先」とは採掘だけを行うという意味ではない。精製施設に加えて輸送回廊、輸出ターミナル、電力システム、工業地帯すべてが同じ地政学的競争の一部だ。
そうしなければ、同じパターンが繰り返されることになる。米国の外交努力によって道が開かれ、初期の採掘契約は前進する。そしてバリューチェーンに対する長期的な支配権を最終的に決定づける隣接分野を中国が引き続き埋める。
重要鉱物は地中の岩石だけの問題であったことはない。その周辺のエコシステムに誰が資金を提供するのかという問題でもあるのだ。


