【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

経済・社会

2026.06.23 08:15

なぜ、北朝鮮の核開発を止められなかったのか 米専門家に抜け落ちた視点

Creativa Images - stock.adobe.com

チャ氏が関与したブッシュ(子)政権は、北朝鮮の非核化の難しさを自覚し、核開発の「凍結」「無能力化」「廃棄」という段階を踏んだものだった。ただ、当時のボルトン国務次官やヒル国務次官補らは「失敗したのは中国が協力しなかったからだ」と怒っていた。当時、米高官だった元当局者たちの話を聞くと、「中国は米国の格下」「話せば、中国も言うことを聞く」という当時の認識がにじむ。逆にウィット氏は、クリントン政権時代の「米朝蜜月」が忘れられない人物として、米政府の対北朝鮮強硬策を批判してきた。「北朝鮮にだまされた」という評価も成り立つ。

advertisement

では、チャ氏らが唱える「北朝鮮との軍備管理・軍縮政策」は成功するだろうか。軍備管理・軍縮の出発点は信頼関係の構築だ。しかし、北朝鮮が信用ならない国であることは誰の目にも明らかだ。

中国の習近平国家主席が6月8日から9日まで訪朝し、両国は蜜月ぶりを演出した。しかし、朝鮮中央テレビは、記念公演を眼鏡姿で鑑賞する習氏の姿を映し出した。中国専門家は「中国は最高指導者の身体の異常という噂や評判を招きかねない眼鏡姿は極力公開しない」と語る。では、なぜ北朝鮮は習氏の眼鏡姿を公開したのか。北朝鮮を逃れた元労働党幹部は「仕返しの可能性」を指摘する。かつて金正日総書記が公に登場した1980年代、中国共産党幹部は北朝鮮側をあざ笑ったという。「おまえたちが最高指導者を最高尊厳だというのは偽りだ。私たちは、毛沢東にも鄧小平にも眼鏡をかけさせたことはない」と言い放った。金正日氏は当時、眼鏡をかけていた。

最大の支援国である中国との信頼関係も十分ではない北朝鮮に対し、一体どんな軍縮・軍備管理が可能なのだろうか。そもそも、北朝鮮の核保有は政権維持という内政上の要求から来ている。金正恩氏らが恐れるのは外国ではなく、内部の青少年層や富裕層らだ。

advertisement

チャ氏たちの主張は、金正恩氏と仲良くしたいトランプ氏の背中を押すだけで、誤った期待を再生産するだけではないのか。米国が軍縮・軍備管理の名の下に、北朝鮮の核を黙認するというのであれば、北朝鮮の脅威に取り残される日本と韓国に対する責任をどうするのか、同時に議論すべきだ。

過去記事はこちら>>

文=牧野愛博

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事