経済・社会

2026.06.19 14:15

ウクライナの戦場で培った迎撃ドローン技術で差別化図る仏スタートアップ企業

アルタ・アレス社のチーフ・オブ・スタッフ、ビクトワール・ソリー氏

アルタ・アレス社のチーフ・オブ・スタッフ、ビクトワール・ソリー氏

ウクライナの迎撃ドローンに搭載するソフトウェアソリューションを提供したことで、注目を集めているスタートアップがある。フランス政府や中東の国々とも取引を広げようとしているフランスの防衛企業「アルタ・アレス」社だ。

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近年のロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化を背景に、軍事用ドローンが普及、迎撃システムの開発も急速に進んでいる。迎撃ドローンの製造なども手掛け始めたアルタ・アレス社のチーフ・オブ・スタッフのビクトワール・ソリー氏に、同社の防衛技術の需要の見通しなどを聞いた。

実戦での適用性を重視したソリューション

――アルタ・アレス社は2種類の迎撃システムを開発しましたね。

2つともウクライナでの取り組みに着想を得たものです。当社は、本社はパリにありますが、ウクライナの戦場にも拠点があります。そこで、どのような問題があったかを学びました。

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ウクライナで生まれ、現場に根ざした経験を持つからこそ、ソリューションに対して非常に実践的なアプローチができるのです。理論上は優れたソリューションを構築し、優秀なエンジニアを擁して優れたコードを開発する他の企業とは異なり、実戦での適用性を重視しています。

創業者であり最高経営責任者(CEO)のアドリアン・グランテールにはウクライナとの個人的かつ密接な関係があります。祖母はウクライナ人で、グランテールCEOはウクライナで教育を受け、法律を学び、軍にも勤務するなど多彩な経歴の持ち主です。

4年前にウクライナへ足を運んだとき、彼は国境での軍事目標の検知という軍の認知的負荷を軽減するために必要な人工知能(AI)が実際には存在していないことに気づきました。敵の軍事装備を検知する手段が現場にまったく存在せず、「幻」のような状態だったのです。そこで彼はインド人のエンジニアたちとともに、軍事偵察を支援するための検知システムを開発しました。それがアルタ・アレスの最初の製品です。
 
――これまでに開発したシステムはすべて軍事分野向けなのでしょうか。

当初は「エンドユーザー」、つまり現場の軍向けに特化したソリューションから始めました。ウクライナ情勢や欧州での防衛技術の革新で、このソリューションが欧州の防衛技術に欠かせないものであることに気づいたのです。

現在は、中東情勢の緊迫化などを受けて、イランやアラブ首長国連邦(UAE)、カタール、サウジアラビアなど同地域のあらゆる国々がこうしたソリューションに関心を示しています。

一方、システムは検知機能も備えており、民間分野にも十分応用が可能で、「デュアルユース」の側面も持っています。
 
――フランスの国防省が最大の顧客ということですが。

そうですね、国防省傘下の国防装備庁(DGA)が最近、アルタ・アレスに発注を行いました。フランス政府からの受注は本当に誇りです。イラン情勢の緊迫化を踏まえて、中東地域へのアプローチも進めました。もちろんウクライナ政府も顧客です。

また、アジアでも強固なパートナーシップを築きたいと考えています。日本では現地生産も検討したいと思います。当社は小規模ですが、将来的には信頼できる日本の企業と協力し、防衛省や地方自治体からの入札、そのほかのニーズに応えていきたいと考えています。

当社はソフトウェアを開発し、今日ではそれを実際に活用。ドローンを確実に捕捉することに成功しました。わずか10カ月でこれを成し遂げたのです。これこそがスタートアップ企業の利点です。

フランスの大手電機企業「タレス」や「三菱重工業」といった数多くの従業員を抱えた階層構造の企業では時間がかかります。その点、当社は規模が小さく機動力があり、より迅速に動くことが可能です。ソリューションを迅速に市場へ投入、失敗してはやり直し、非常に早く学びを得ます。

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