月間100機程度の迎撃ドローンも生産
――工場では迎撃用ドローンも生産していますね。
現在は月間100機程度の迎撃ドローンを安定生産できるようになりました。ただ、対応する人員は少ないのです。生産増には資金援助や受注が必要。他企業との提携なども行うことができれば理想的です。事業の多角化を図ろうとしている企業などと連携できれば、はるかに多くのことが実現できるでしょう。
ドローンの製造自体は、それほど複雑なことではありません。「ロケット科学」のような難解な技術は必要としません。無駄になるほどの生産を行うのは意味がありませんが、注文に応えるために生産量を増やすことは当社の使命です。
なぜなのか? ロシアが毎日、数千機の「シャヘド」を自国でも生産しているのを認識しなければなりません。迎撃すべきドローンの数は膨大なのです。 迎撃ドローンの保有数が増えれば増えるほど空域の飽和状態は緩和され、数百万ドルもするミサイルを「価値のある」標的へ向けて温存できるようになります。
中東から飛来するミサイルを迎撃するためには数百万ドルかかりますが、当社では2万5000ドル程度のドローンを製造することが可能です。2万5000ドルのドローンを大量導入して、安価なドローンを迎撃するほうが効率的なのです。運用コストも3万ドル程度と安価です。
――米国防総省がAIの企業「アンソロピック」社を政府調達の「サプライチェーンリスク」に指定するなど、両者の対立が取りざたされています。
あくまで個人の意見ですが、防衛企業である当社としては、米国との協力には常にメリットが存在します。同国には強力な技術革新があり、それは実にすばらしい。無視できないほど優れたイノベーション企業が存在しており、そこからインスピレーションを得る必要があります。
NATOにおける同国の存在感もあります。トランプ大統領が、NATOから脱退したいと言っているのを聞いたでしょう。何が起こるかわからないし、危険なことです。外交関係を築くうえで信頼関係は不可欠ですが、いまのトランプ氏には必ずしもその自覚があるとは思えません。それは危険なことです。
防衛分野に携わる当社にとっては、「今後どうなるかわからない」という点が危険なのです。だからこそ、強固なヨーロッパを築き、日本のような国々とも強固な関係を構築するのが重要なのです。ただ、複雑ではありますが、(かつて住んでいた)米国が大好きだということも確かです。
――自律型兵器をめぐる議論についてはどう考えますか。
軍事システムにおける完全な自律性は、果たして正しい解決策といえるのでしょうか。当社のシステムでドローンを迎撃するために爆弾を起動する際には人間の手で行います。人間はいつでもミッションを中止する権限を持っています。これは非常に重要です。
エンジニアには倫理的な問題、そして、何よりも単純なミスの発生を最小限に抑えることに対する法的な責任があります。完璧なものは存在せず、人間も完璧というわけではありません。
AIと人間は互いに補完し合う必要があります。AIへ置き換えることが目的ではありません。人間の存在は非常に大事。AIを活用することでより高いパフォーマンスを発揮できると考えます。ただし、そのためには制御が必要。それゆえ、大きな議論が存在するのも当然です。
国や地域によって状況は異なります。完全に自律化したいと考える国もある。必ずしも兵士を戦場へ派遣したくないという事情もあるでしょう。一方、フランスは(自律化に対して)より慎重なアプローチで体制を整備しようとしています。それもまた、正当な選択です。


