株価10倍の背景にあった「社会インフラの構造転換」
スパークス・グループ代表の阿部修平の最新刊『コンパウンドグロース投資 世界を牽引する日本の新時代』では、コンパウンドグロースでテンバガー(10倍銘柄)になった銘柄として、三菱重工業を挙げている。2022年以降、日本の株式市場で最も大きな衝撃を与えた大化け株の一つだ。
長年、同社の株価は低迷し、市場からは「重厚長大産業の象徴」「過去の遺物」として半ば見捨てられた存在だった。しかし、そこから株価は約10倍へと急騰した。世間の多くはこの急騰を「防衛関連のブーム」や「政策的な追い風」といった理由で説明しようとするが、それだけでは十分ではない。
単なる業績回復では説明できない株価の急騰。その背景には、社会インフラの構造転換という大きな変化があった。
まず重要なのは、「複利とは、数字ではなく構造である」という認識だ。社会は直線的に進化するのではなく、既存のインフラの上に新たな技術や仕組みが積み重なることで発展していく。この構造変化が起きるタイミングにおいて、企業価値は加速度的に上昇する。三菱重工の上昇は、まさにこの転換点と一致している。
長年にわたり株価が低迷していたのは、同社が衰退していたからではない。エネルギー分野における構造転換、すなわち脱炭素や電力インフラ再構築という大きな潮流が到来する前の段階にあったからだ。そして、その潮流が本格化したことで、同社が保有する技術の価値が一気に顕在化したのである。



