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サイエンス

2026.06.22 17:00

部屋が回る「めまい」の意外な原因、5億年前の魚から受け継いだ内耳の設計図

stock.adobe.com

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私たちの内耳の奥深くに、直径1センチに満たない小さな錠剤ほどの大きさの構造が収まっている。この器官は5億年もの間、本質的に同じ役割を果たし続けてきた。人類が誕生するはるか以前、哺乳類が現れる前、陸生脊椎動物がまだ存在しなかった時代から、現代人の前庭系(ぜんていけい)と驚くほど類似した器官が古代魚の頭蓋内で機能し、水中世界を泳ぎ回る手助けをしていた。この構造こそが、穏やかな朝にゆっくりベッドから起き上がっただけで部屋が回転してしまう理由を理解する鍵なのである。

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人間の前庭系は魚から受け継いだもの

この物語は約5億年前、「側線系(そくせんけい)」と呼ばれる器官を備えた捕食性の海洋魚から始まる。側線系は体の側面に沿って走る流体感知器官で、周囲の水の動きや振動、圧力勾配を検知する能力を持っていた。

これが原初の設計図だった。数億年の時を経て、脊椎動物の系統が分岐し、内耳がより精巧になるにつれ、側線系は現在私たちの頭蓋内にある迷路状の構造へと進化した。無顎魚類は1つか2つの半規管(はんきかん)を持っていた。約4億3000万年前に顎を持つ脊椎動物が出現すると、3つ目の半規管が進化し、あらゆる方向の回転を検知できる3軸ジャイロスコープが完成した。

2018年に科学誌『Nature』に発表された研究では、半規管の発達を制御する調節遺伝子を分析した結果、Tbx1やPatchedを含む同じ主要遺伝子が、ヤツメウナギからヒトに至るまで、すべての脊椎動物種において同じ場所で、同じ時期に発現していたことが判明した。この設計図は太古に端を発し、驚くほど変わらずに受け継がれてきたのである。

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人体が「バランス」と「めまい」をどのように感じるか

人間の前庭系は、内耳の骨迷路(こつめいろ)内に収められた5つの感覚器官で構成されている。3つの半規管と、卵形嚢(らんけいのう)および球形嚢(きゅうけいのう)という2つの耳石器官(じせききかん)である。両者の役割分担は、少なくとも理論上は明快かつすっきりとしている。

半規管は回転を感知する。3つの半規管はそれぞれ他の2つに対してほぼ90度の角度で配置されており、システム全体で完全に3次元をカバーしている。管内は「内リンパ(ないリンパ)」と呼ばれる液体で満たされ、各管の基部には「クプラ」と呼ばれるゼラチン状の構造で覆われた有毛細胞の集まりがある。

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