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AI

2026.07.03 15:30

AIプラットフォーム競争は、数千億円規模のワークフロー領域へ

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エコシステム展開が、成長の選択肢ではなく競争上の必須条件

OpenAIの企業向け戦略に関する社内メモも、この圧力を正面から認めていた。そこでは、プラットフォームの所有、業務への組み込み、複数製品にまたがるエコシステム展開が、成長の選択肢ではなく競争上の必須条件として強調されていた。この表現には、どれほど印象的であっても、モデル性能だけではプラットフォーム企業としての評価を正当化するに足る流通力や文脈の深さは保証されないという認識が反映されている。

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特定業種に特化したAI企業も、別の切り口から同じ主張を展開している。Cursorは、より優れたコードアシスタントを作ったわけではない。AIをコーディング環境そのものに組み込み、開発者が貼り付けた断片だけでなく、コードベース全体の文脈に常時アクセスできるようにしたのだ。Harveyは法務分野で同じアプローチを取り、訴訟資料、各法律事務所固有の基準、管轄ごとの制約をすべて踏まえて動作するAIシステムを構築している。Notionは最近、自社を「AIを後付けした文書エディター」から「AIエージェントの拠点」へと位置付け直した。共通する動きは、汎用的な能力よりも文脈の深さを取るという点である。

エンジニアリングワークフロー向けのAIシステムを開発するLeo AIは、これが現場レベルでなぜ重要なのかをよく示している。創業者のマオール・ファリドは、責任の重いエンジニアリング現場で汎用AIが力不足になるのは、推論能力の限界ゆえではないと主張する。エンジニアリングの意思決定は、製造上の制約、取引先側の事情、社外秘の技術文書、企業ごとの基準に左右されるが、これらは汎用モデルが学習していない情報だからだという。AIは独立したツールとして呼び出されるのではなく、業務環境そのものに組み込まれて初めて、その有用性が飛躍的に高まるのだ。

ガーシュフェルドのFlint Capitalの同僚であるセルゲイ・グリボフは、本人いわく「地味なインフラの視点」から、この投資テーマに資金を投じてきた。同氏が出資したポートフォリオ企業には、Viewz(財務・会計向けのAIネイティブ・プラットフォーム)、Vayu(AIを活用した請求業務の自動連携)、RiskFront(リスク・コンプライアンス業務向けのエージェント型AI。最近K2 Integrityに買収された)などがある。いずれも、コンプライアンス業務、請求処理のロジック、ガバナンスの基盤のような、誰もロマンを感じないような業務領域こそが、AIが最も長く根を張ることのできる場所だという前提のもとに作られている。同時に、これらの領域は乗り換えコストや業務上の摩擦が最も大きい分野でもある。

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「Viewz、Leo AI、RiskFrontのようなスタートアップに対する賭けは同じです。ワークフローの『隣』ではなく、その『内側』に住み着くAIに賭けているのです」とグリボフは語る。「ユーザーがわざわざ訪れに行くチャットボットは『機能』にすぎません。一方、帳簿、エンジニアリング上の制約、リスク判断のロジックなどの、企業の業務の文脈を保持するシステムは『インフラ』です。機能はやがてコモディティ化していきますが、インフラは契約が更新され続けていきます」。

財務・会計分野では、この見方を大規模に裏付ける動きが現れつつある。これまで会計業務の中で最も変化の乏しいインフラ層と見なされてきた領域に、投資家が資本を注ぎ込んでいるのである。同じ構図は業界をまたいで成り立っている。AIはワークフローの「隣」にあるうちは強固な競争優位を持てず、ワークフローを「構成する一部」になって初めて、それを手にできる。グリボフの言葉を借りれば、次のAIの勝者は、ユーザーに業務の手を止めさせてモデルのもとへ来させる企業ではなく、モデル自体が業務の中に溶け込んでいく企業である、ということになる。

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翻訳=酒匂寛

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