2026.06.18 12:15

エクスペディアが挑む「AI×人間味」の旅行体験革命

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旅行は、3回目の大きなデジタル変革期に入った。

1回目はウェブだ。消費者は、代理店に電話をかけずとも航空券やホテルを比較できることを学んだ。2回目はモバイルで、旅行の計画、予約、管理が旅行者の手のひらへと移った。3回目は人工知能であり、すでに消費者が旅を思い描き、検索し、比較し、購入する方法を変えつつある。

旅行をオンラインへと導く一翼を担ってから30年を迎えたエクスペディア・グループは、消費者向けテクノロジーにおける最重要級の問いの1つに答えようとしている。AIが発見(ディスカバリー)への「玄関口」になっていく一方で、購入の障壁として信頼が残るとき、何が起きるのか。

AI駆動の旅行で「信頼」が欠けている理由

この緊張関係は、エクスペディア・グループCEOのアリアンヌ・ゴランの見立ての中核にある。彼女にとってAIとは、人間の判断を置き換えるものではなく、旅行者により大きな主体性を与える手段として位置づけられている。ゴランは「私たちの目的はシンプルだ。1つひとつの旅を通じて、旅行者が世界を探求できるよう支援することだ」と述べた。

30周年イベントでエクスペディアは、新たなAI搭載ツールの投入、UberやCLEARを含む企業とのより深いエコシステム提携、そしてExpedia Trails Fundを通じた新たな社会貢献活動を発表した。

それは大きな野心だが、同時に必要な野心でもある。消費者のAI採用は、AIに対する消費者の安心感を上回るスピードで進んでいる。黎明期のインターネットに少し似ている。アクセスに胸を躍らせる一方で、取引が本当に機能するのか不安が残っていた、あの頃のように。

旅行はその信頼のギャップを増幅させる。消費者はAIに「水辺の近くでロマンチックな週末」や「オースティン近郊でペット可の湖畔の家」を尋ねることは厭わないかもしれない。だが、旅程が高額で、感情を伴い、時間的制約も厳しくなるほど、何か問題が起きたときに助けてくれるブランドを旅行者は求める。

エクスペディアのB2BプラットフォームがもたらすAI優位性

ここで、エクスペディアのモデルが興味深くなる。

同社は、Expedia、Hotels.com、Vrboを通じた消費者向けマーケットプレイスであるだけではない。パートナー向けに在庫と予約機能を提供する、旅行のB2Bオペレーティングシステムでもある。この意味でエクスペディアの機会は、従来型のオンライン旅行代理店であることよりも、次の旅行ディスカバリー時代のインフラになることに近い。

エクスペディア・グループ会長のバリー・ディラーは、イベントの場でこの課題の人間的側面を捉えた。AIを次の革命として認めつつも、あらゆる意思決定と見極めの行為が機械に委ねられるという考えに異を唱えた。この点は重要だ。旅行は純粋に機能的なカテゴリーではない。取引を装った感情のカテゴリーである。消費者が買っているのは、座席や部屋や貸別荘だけではない。自信、アイデンティティ、記憶、そして「この旅は努力に見合うはずだ」という希望を買っている。

ディラーは「旅行は純粋に機能的なカテゴリーではない。取引を装った感情のカテゴリーだ」と語った。

Z世代の旅行マインドセットに向けたエクスペディアの構築

このため、エクスペディアのAI戦略は、世代というレンズを通して見るとより説得力を増す。Z世代は生年で定義されがちだが、Z世代をマインドセットとして理解するほうが有益である。そのマインドセットは、イノベーション(私の言葉で言えば「役に立つ新しさ」)、価値、そして価値観を軸に築かれている。

意思決定疲れを減らすAI旅行ツール

イノベーションの面でエクスペディアは、自然言語による計画と意思決定支援に踏み込んでいる。同社は、Expediaアプリの「Trips」セクション内で提供される会話型の旅行計画体験「Activity Planner」を発表した。旅行者の旅程と好みに基づき、アクティビティ、レストラン、イベントを提案する。Hotels.comは、検索文脈と明示された優先事項に基づいて意味のある違いを浮かび上がらせ、ホテル比較を支援する「AI Compare」を追加する。さらにHotels.comは、ホテルごとの質問を旅行者が投げかけ、施設ページ上で根拠に基づく回答を得られるAIホテルQ&Aツール「Property Expert」も導入する。Vrboは自然言語検索を追加し、旅行者がフィルターだけに頼るのではなく、望むバケーションレンタルのタイプを言葉で説明できるようにする。

これらのプロダクトが重要なのは、旅行の課題がもはや情報の不足ではなく、過剰にあるからだ。旅行者は700個のホテルタブを開く必要はない。トレードオフをより適切に解釈する方法が必要なのだ。コンサート会場に近いが騒がしいホテルなのか。貸別荘は幼児向きなのか、それともティーン向きなのか。安いパッケージは本当にお得なのか、それともその瞬間だけ得をした気分になる「取引」なのか。

価格よりも「自分にとっての価値」が重要になる理由

ここで、エクスペディアの「Package Price Insights」は、意味のある消費者向けツールになり得る。2026年に提供予定で、宿泊+航空券パッケージの価格が、過去の価格パターンに基づいて「典型的」なのか「通常より安い」のかを表示する。エクスペディアの「Flight Deals」プロダクトはすでに、1日あたり数百万便を分析し、通常水準より少なくとも20%安い運賃の便を特定している。アプリではインタラクティブな地図によるディスカバリー体験が提供されており、2026年5月にはウェブにも展開予定だ。

Z世代とミレニアル世代の旅行者にとって、価値とは最安値であることだけを意味しない。コントロールとパーソナライゼーションに関わるものだ。

Z世代は、いつ上位に乗り換え(トレードアップ)るのか、いつ下位に切り替え(トレードダウン)るのかを自分で決めたい。同じ消費者でも、フェスのチケットには大金を投じる一方で、ホテル滞在は徹底的に節約したいことがある。

Z世代の旅行支出における「デイトレード」の台頭

この「デイトレード」的な消費アプローチは、私が『Marketing to Gen Z』(Harper Collins)で体系化したZ世代文化の一部である。彼らはカテゴリーではなく「瞬間」をまたいで最適化する。コンサート、食体験、一生に一度のアクティビティには散財し、その後に交通、宿泊、旅行日数でトレードダウンすることがある。航空券、宿泊、車、アクティビティを束ねられるエクスペディアの能力は、価値が「機会」によってパーソナライズされ得るという点で、同社にブランドとしての正当性を与える。独身最後の旅行、家族旅行、出張、あるいは1人で整え直す旅で、同じ旅行者でも価値の定義は変わり得る。

Uberが旅行エコシステムを拡張する

エクスペディアの新たな提携は、この論理を予約の先へと拡張する。Uberとの提携により、エクスペディアは「旅行意図」が最も濃い局面へのアクセスを得る。誰かが都市に到着し、ホテルへ向かうためにUberを開く、その瞬間である。Uberは、米国のユーザーがUberアプリを通じて世界70万軒超のホテルを予約できるようになると発表した。エクスペディアがそれを支え、次いでVrboのバケーションレンタルも加わる見込みだ。Uber One会員は、予約に紐づくホテル割引やクレジットを受け取れる。一方でエクスペディアも、自社アプリ体験にUberの配車を取り込む。

AIによる旅行ディスカバリーはあらゆる場所で起きる

このより広いエコシステム戦略が重要なのは、AIがディスカバリーを断片化させる可能性が高いからだ。Googleから始める消費者もいれば、Instagram、TikTok、ChatGPT、Claude、Meta、あるいは別アプリに埋め込まれたエージェントから始める人もいるだろう。エクスペディアはすでに、その方向へ動いている。同社のClaude連携により、米国の旅行者は自然言語で航空券とホテルを検索し、リアルタイムの選択肢を受け取り、エクスペディアへ遷移して予約を完了できる。

言い換えれば、エクスペディアは旅行ディスカバリーのすべてがエクスペディアの保有面で起きるとは賭けていない。ディスカバリーがどこで起きようと、旅行者には信頼できる在庫、予約可能な選択肢、価値を示すシグナル、そしてサービスが必要になると賭けているのだ。

Expedia Trails Fundが旅行とブランドの価値観を結びつける

3つ目のZ世代の次元は価値観である。

Expedia Trails Fundは好例だ。旅行需要と環境保全を結びつけるからである。同社によれば、この基金は11のプロジェクトから始まり、トレイル、公園、海岸線の改善を支援する助成金として430万ドルを拠出する。The Conservation Fund、The Nature Conservancy、Trust for Public Landとのプロジェクトも含まれる。

若年層の旅行者にとって、価値観はブランドが何を語るかよりも、ブランドが何をするかで評価される。エクスペディアの調査では、調査対象のZ世代およびミレニアル世代の旅行者の86%が、過去12カ月に少なくとも1回、国立公園または自然旅行を経験していた。

つまり、アウトドアへのアクセスと自然保全は、単なる慈善ではなく、消費者との関連性に関わる論点でもある。

AI旅行の未来には、なお人の手触りが必要だ

エクスペディアの現在の戦略で最も重要な考え方は、おそらくこれである。AIは摩擦を減らせるが、売買を成立させるのは信頼である。そして消費者の採用が消費者の信頼を上回る限り、亀裂は残る。

ゴランの課題は、最初の旅行の会話が別の場所で起きる世界において、エクスペディアを不可欠な存在だと感じさせることだ。同社の強みは、旅行にはインスピレーションと推奨以上のものが必要だという点にある。

在庫、価格、文脈、サービス、そして確信が必要なのだ。AIは人々が夢見て決めることを助けられるが、エクスペディアは、彼らが「踏み切る」ことを支えるレイヤーになろうとしている。

これは微妙だが重要な違いである。

AI旅行の勝者は、消費者に最も長くボットと会話させる企業ではないかもしれない。AIを使うべきとき、人の判断を使うべきとき、そして旅行者が検索をやめられるだけの自信を与えるべきときを理解している企業かもしれない。

forbes.com 原文

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