AI

2026.06.19 06:10

エージェント型AI時代を先取りする、キャピタル・ワンCIOが語る4つの戦略

stock.adobe.com

stock.adobe.com

生成AIが企業で普及し始めて以来、経営層にも従業員にも、それは「能動的な協働者」というより「生産性を高めるアシスタント」として受け止められてきた。確かに有用ではあるが、最終的には受動的だ、という位置づけである。

advertisement

エージェント型AI(agentic AI)は、人工知能の次なる大きな進化であり、行動を助言するだけでなく、実際に行動する。フォーブスの最新インタビューでは、企業がエージェント型AIを活用し、市場で競争力を維持するために、テクノロジー基盤とビジネスの発想をどう進化させるべきかが浮き彫りになった。

「[エージェント型企業になるということは]周囲の環境を理解し、意思決定できるAIを……安全で能動的な環境の中で構築することを意味する」と、キャピタル・ワン(Capital One)の銀行テクノロジー部門エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼ディビジョナルCIO、マーク・マシューソンは、フォーブスとのライブインタビューで語った。

フォーブスでエグゼクティブ・ソートリーダーシップ担当シニア・バイス・プレジデントを務めるジャネット・ハースとの対談で、マシューソンは戦略的成功へ至った道のりを明かした。それは、早期に動き、採用した企業が競争力獲得において先行できることを示す、確かな証左でもある。

advertisement

エージェント型AIが概念として成立する何年も前、キャピタル・ワンはクラウド技術に賭け、パブリッククラウドへの全面移行を果たした米国初の金融機関となった。その意思決定を後押しした利点――オンデマンドのリソース、動的スケーリング、弾力的なコンピューティング――は、結果的に、今日の大規模AI開発が必要とする要件そのものだった。

「クラウド上で積み上げてきた我々の歴史は、この次の移行に向けた準備の基盤になっている」とマシューソンは言う。

その移行が実際に何を求めるのか、そしてキャピタル・ワンがそれにどう応えているのかは、注意深く検討する価値がある。

以下では、エージェント型AIに対応する企業の未来を切り開く、マシューソンの戦略的示唆を紹介する。

1. 現代的でデータ駆動の基盤の上に構築する

AIの進化は、そのたびに企業インフラにこれまで以上の要件を課してきた。エージェント型AIが求める水準は最大であり、膨大な量の集中管理されたアクセス可能なデータと、それを大規模に処理するコンピューティング能力を必要とする。

キャピタル・ワンにとって、クラウドはその要件に応える手段だった。クラウドインフラへの長年の投資によって、エージェント型AIが稼働するために必要な環境が、まさに整えられたのである。

「エージェント型企業であることの重要な要素であるデータは、今やクラウド上にあり、多様なコンピューティングサービスやモデルへ、シームレスでオンデマンドかつ弾力的な環境でアクセスできる」とマシューソンは述べる。「これは驚異的な基盤だ」

キャピタル・ワンのAI準備は、一夜にして築かれたものではない。「機械学習(ML)とAIを実装してきた長い歴史がある」とマシューソンは指摘する。

現在、キャピタル・ワンは不正検知から顧客対応、ソフトウェア開発に至るまで、多岐にわたる領域で数百のAIおよび機械学習ユースケースを運用している。現代的なテクノロジーとデータインフラ、AIと機械学習の深い経験、卓越した人材の組み合わせにより、エージェント型AIへの飛躍は「再発明」というより「次のステップ」になった。

そのいずれも、マシューソンが説明するように、人工知能の重要性に対する全社的な確信がなければ実現し得なかった。

「AIの最前線へ進むことは、我々のビジネスの中核に組み込まれている」とマシューソンは述べた。「役割に関係なく……同僚たちは、AIを活用して未来を再構想することが自分たちの仕事の一部だと認識している」

2. 競争優位としての独自データを受け入れる

AI革命は、企業がデータをどう使うかについての要求水準を引き上げた。将来成功する企業は、独自データに基づく高度にカスタマイズされたモデルを活用する企業である。

「オープンウェイトモデル(重みが公開されているモデル)は優れた汎用モデルだが、専門家にするには自社の独自データを使う必要がある」とマシューソンは言う。「[必要なのは]その独自のデータポイントを生かせるようにモデルを訓練し、自社のビジネス文脈において固有の、きわめて特定のタスクに対して展開することだ」

キャピタル・ワンは、まさにその種の「特異性」を築くことに長年を費やしてきた。同社がデータとアナリティクスで積み上げてきた深い歴史により、豊富な独自データが生まれ、真に差別化された性能へとモデルを訓練するために活用できる。

独自データはまた、特定のビジネスケースに合わせてカスタム構築されたマルチエージェント型ワークフローの前提条件でもある。たとえばキャピタル・ワンは、自社のマルチエージェント型AIワークフローを活用し、銀行のカスタマーサービスコールセンター担当者が、複雑な不正解決の電話対応を、これまで以上のスピードと品質で処理できるよう支援している。

このワークフローは実データで学習しているため、コールセンター担当者は顧客の問題を調べる時間を大幅に短縮でき、長文のやり取りを要約するために必要な認知負荷も軽減できる。これにより、顧客体験と担当者体験の双方が向上しつつ、正確性、信頼性、リスク管理に関する厳格なビジネス基準も満たせる。

このワークフローは他の多様なエージェント型ユースケースにも拡張可能で、自動車購入者やディーラーの顧客体験を高める同社の「Chat Concierge」ツールもその1つだ。

「舞台裏で構築されているのは、我々独自のエージェント型ワークフローだ」とマシューソンは述べた。

汎用モデルは今後も改善していくが、その改善は等しく誰にでももたらされる。独自データは定義上、競合がアクセスできないものだ。エージェント型企業にとって、優位性はこの非対称性の中にある。

「タスクに特化したエージェントが緊密に絡み合う一連の仕組みが、勝者と敗者を分ける」とマシューソンは言う。

3. スケーラブルで組み込み型のAIシステムを優先する

ビジネスを変革するAIと、単に支援するだけのAIの違いは、多くの場合「どこに存在しているか」に帰着する。後付けの人工知能は能力の「島」を生みやすい一方で、組み込み型AIは、まったく異なる種類の組織を可能にする。

キャピタル・ワンのアプローチは、エンタープライズ・プラットフォーム・モデルを中心に据える――つまり、全社のあらゆる領域に展開でき、複数のユースケースに適応できる標準化されたAI機能である。

たとえば、検索、要約、チャット、コンテンツ作成、予測、フォーキャスティング、分類は、孤立したツールではない。共有のリソースプールから引き出された標準機能であり、さまざまなアプリケーションに適用できる。

「後付けや追加機能という感覚ではなく、我々のスタックにシームレスに適合している」とマシューソンは語る。

ソフトウェア開発へのインパクトは、その可能性の規模を示している。キャピタル・ワンのエンジニアは、AIツールを使って単調な作業を自動化し、高いレバレッジが効く仕事に集中できる。かつて丸1日を費やしていたような反復的で時間のかかるコーディング作業を、委ねられるようになった。

「コードを書くことの制約は、もはや本当の意味で制約ではない」とマシューソンは言う。「我々のエンジニアはエージェントに代行を頼み、同時に3つの異なることに取り組める」

マシューソンはさらにこう付け加えた。「ソフトウェアを構築する方法をどう変革し得るかを、包括的な視点で見ている」

4. AIに精通した人材と専門特化した知見を育成する

AIを大規模に開発・展開し、進化させられる組織を構築するには、同等に重要な2つの投資が必要だ。すなわち、従業員全体にわたる幅広いAIリテラシーと、中核における深い技術的専門性である。

しかし多くのリーダーにとって、この両方に到達する道筋は、変化の速度そのものによって見えにくくなっている。モデルは週単位で追い抜き合い、前四半期には存在しなかったツールが今では標準となる。過去の前例に基づく予測だけでは、もはや不十分だ。

マシューソンは、その状況に共感を示す。

「歴史から頼れる比較可能な枠組みが本当に存在しない中で、未来をどう描くかを学び直さなければならない。なぜなら、その多くの基盤が今日まさに変わっているからだ」と彼は言う。「混沌として見える日もあるが、最良の意味でそうだ」

これを受けてキャピタル・ワンは、AIリテラシーを個人の資格ではなく、組織の美徳として扱っている。同社の文化は継続的な学習とイノベーションに根差し、社員に対して、市場で利用可能な最新ツールへのアクセスだけでなく、強固なトレーニング、学習、能力開発の機会を提供し、これらのソリューションによる実践的かつ力強い成果を可能にしている。

マシューソンは、最新動向を追うだけでは、実際に手を動かして取り組むことの代替にはならないと指摘した。

「起きていることを読むのは1つのことだ」と彼は言う。「ツールを実際に手に取り、使い始めて、限界がどこにあるのか、どんな能力があって、それが自分を驚かせるのかを確かめるのは、まったく別のことだ」

もう半分の要素は専門特化であり、ビジネス固有の文脈を持つカスタムAIモデルを構築するには、現代的なテックスタックとデータ・エコシステム、独自データ、そして最高水準の人材が必要になる。

「業務プロセスとテクノロジースタックがどう変わる必要があるのかを再定義することに踏み込み、ツールを試すことが、将来、組織間の差を生む」とマシューソンは述べた。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事