経営・戦略

2026.06.18 11:21

CFOに課された新たな使命:AIの大胆な導入で戦略を推進せよ

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CFOであるなら、キャリアの初期に思い描いていたこの仕事は、今とはまったく別物だった可能性が高い。現代のCFOは戦略家であり、テクノロジストであり、実務家でもある──そのうえで依然として帳尻も合わせる。AIはその変革を加速させるが、それは慎重に導入し、適切に使いこなした場合に限られる。

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AI搭載の金融ビジネスプラットフォームを提供するEskerのCFO、スコット・マクダーモットに話を聞いた。財務部門のアップグレードを成功させる方法について、戦略構築とAI活用の両面から語ってもらった。

経済指標

企業利益だけを見れば、今は好況の真っただ中である。フォーブスのシニアコントリビューター、エリック・シャーマンの記事によると、直近の四半期で企業利益は4兆3900億ドル(約640兆円)という過去最高を記録した。企業利益は急増し──とりわけ新型コロナウイルスのパンデミック以降──増加を続けている。しかもテックだけではない。小売、建設、卸売、耐久財製造、ヘルスケアが、パンデミック後の企業利益急増の73%を担っている。その資金の大半である76%は株主配当へ回り、15%は内部留保だった。

企業はコスト増を消費者に転嫁することで利益を増やせるが、今日の消費者はますます厳しい状況に追い込まれている。フォーブスのシニアコントリビューター、マイラ・ロドリゲス・バリャダレスの記事によると、全体として米国人は「より少ないものを買うために、より多く支出」しており、より不安定な財務状況へ追い込まれているという。クレジットカード残高は1兆2500億ドル(約182兆円)で、5年前から63%増加した。後払い決済利用者の約3割が、食料品の購入にその資金を使っていると答えている。個人貯蓄率は2.6%まで低下し、1月の約5%から下がった。

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AIの利用が拡大するにつれ、企業の成功を測る方法が消費者の痛みを覆い隠す可能性がある。フォーブスのブランドン・コックコーディンの記事によると、AIによって企業が、より少ない人員で同じ仕事をこなせる可能性がある一方、失業が増え──企業業績はさらに良くなるかもしれないという。経済学者は、少なくとも人々は教科書の時代のモデルで景気を捉える考え方をやめる必要があると言う。確かにAIは「企業利益の高止まり」と「失業率の上昇」の両方をもたらしうるが、一方で、自動化された製造、職場へのコンピューター導入、インターネットなど、他の技術革命と同様に、利益と雇用に影響を及ぼす可能性もある。

株式市場ニュース

2026年が大型IPOの年になることが確定した。今週、AIの巨人Anthropicが、年内後半の上場に向けて米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)の初期書類を秘密裏に提出した。この提出は、同社がOpenAIを追い抜き、最も価値の高いAIスタートアップになったと報じられてから1週間も経たないうちのことだ。シリーズHの資金調達で650億ドル(約9兆5000億円)を調達し、評価額は9000億ドル(約131兆円)となった。

Anthropicは2026年に入り、利用状況、評判、評価額のいずれも急騰した。2月に前回の資金調達ラウンドを終えた時点では、同社の評価額は3800億ドル(約55兆円)だった。テックスタックのトラッカーBloomberryによると、AnthropicのClaudeは現在、5万6000社超で利用されている。エンタープライズ領域では、多くの企業がコーディング能力を活用している。一方でClaudeは消費者の間でも人気が高まっており、Sensor Towerの統計によれば、第2四半期のAIアプリ総ダウンロード数の14%を占め、他のAIアプリを上回る成長率を記録している。

注目ニュース

株式市場、インフレと雇用に関する月次報告、四半期のGDP成長といった指標によって景気の健全性を追うのは比較的容易だが、フォーブスのシニアコントリビューター、マイラ・ロドリゲス・バリャダレスは、あまり注目されていないが、同様に重大な懸念領域を指摘する。プライベートクレジットファンド、住宅ローン組成会社、ヘッジファンド、プライベートエクイティビークルなどを含む非預金取扱金融機関(NDFI)が、銀行融資の大半を獲得している。NDFI向け融資は1兆4700億ドル(約214兆円)に達し、2010年から2518%増加した。銀行は厳格に規制されている一方で、NDFIはそうではない。ただし、2025年1月以降に複数の規制緩和が実施され、銀行がこうした事業に融資しやすくなった。

世界のプライベートクレジット市場は現在2兆ドル(約291兆円)規模で、銀行融資のうち3220億ドル(約47兆円)がこれらのファンドにコミットされていると、ロドリゲス・バリャダレスは指摘する。米国では、レバレッジド・バイアウトの資金調達全体の77%〜83%を現在賄っており、4月のプライベートクレジットのデフォルト率は6%だった。これは、不安定な金融環境における「借りた金を原資に、さらに借りる」という潜在的問題を生む。金融安定理事会(FSB)は先月の報告で、システム内の脆弱な領域を4つ特定し、問題の規模を把握するのが極めて難しいと結論づけた──ただし個別の銀行は、数千億ドル規模を開示している。規制強化でシステムを下支えできる可能性はあるが、実際に何が起きるのか、そしてそれがより広い経済にどのような影響を与えるのかを予測するのは難しい。

オフ・ザ・レジャー

戦略とAIで財務部門をアップグレードする

CFOの仕事は急速に変化している。今日のCFOは、数十年前の前任者よりはるかに戦略的な役割を担うが、AIを展開できることも求められる。AI搭載の金融ビジネスプラットフォームを提供するEskerのCFO、スコット・マクダーモットに、戦略面とAI面の双方でいかに適応するかについて聞いた。本対談は、長さ、明瞭さ、一貫性の観点から編集している。

CFOの仕事は、財務の管理監督から戦略へと進化した。CFOはこの変化にどれほど備えられているのか。

マクダーモット:私がこの仕事を始めた頃を振り返ると、当時は紙ベースでやっていたが、今ではAIエージェントがある。15〜20年というスパンで、技術面では急速に進化した。そして20年前のCFOの役割は、よりコンプライアンス、記帳、報告が中心だった。CFOの重要な責務の1つは、CEO、取締役会、経営会議を教育するだけでなく、次世代へのメンタリングを育むことでもある。

私がそれを実践する方法は、AIを使い、そうしたツールやテクノロジーの応援団として振る舞い、模範を示すことだ。私はCFOの座に進む機会を得たが、それは運と努力、そして何より非常に良いメンターの存在が組み合わさった結果だった。私はチームと時間を過ごし、王国のようなオフィスに引きこもってすべてを彼らにやらせるのではなく、どうやって進めるかを見せている。

テクノロジーは素晴らしいが、人間的側面もある。財務部門は、AIの利点を確実に生かすためにどのように再編できるのか。

財務のプロフェッショナルは一般に内向的で、変化するテクノロジーを素早く採用する気質ではないと思う。私はチームを見ている。チェンジマネジメントは大きな領域だ。つまり、「どうすれば彼らがそのテクノロジーを使えるようにできるのか」ということだ。

私は日々の業務でAIを採用している。そうすることで、自分の仕事の質が大きく上がるからだ。今の私は、6カ月前にはできなかったような実務的なことを、より多くこなせる。学び続け、常にスピードも上がっている。CFOでありながら、個人としての貢献度も高めている。私は、高い能力とポテンシャルを持つ少数精鋭のチームを作ろうとしている。私は彼らを「ウィザード」と呼んでいる。彼らが私と一緒に旅をし、その知見を組織全体へ浸透させられるようにするのだ。個人の貢献者というレベルで、組織を変化へ導ける人材が必要である。

次に必要なのは、トレーニング、イネーブルメント、ワークショップ、そしてチームワークだ。私たちはグループミーティングを行い、その「ウィザード」の1人に、過去4週間で採用した進展を発表してもらう。チームがテクノロジーを使うことに慣れるためだ──彼らは最初、とても恐れているからである。

ここでAIをめぐる語りが誤解される。誰もがAIは「全部かゼロか」の取引だと思っている──誰かの仕事の100%をやってしまう、と。現実には、多くの仕事で実際にやっているのは40%程度で、残りの50%〜60%は、その仕事にまとわりつくノイズへの対処に費やされている。買掛金(AP)担当者の時間の40%は、支払いがいつになるのかという顧客メールへの回答に費やされている。AIが強力になり得るのは、その役割をより完全に果たせるよう個人を支援し、時間を取り戻させる点だ。そうすれば、事業のより戦略的な側面に集中できるようになる。

適切な新ツールを導入し、部門がそれらを使える状態に整えるために、CFOにどんな助言をするか。

  • テクノロジーを恐れてはならない。CFOの思考は本来的に慎重になりがちだ。私の場合は逆である。テクノロジーを採用し、リスクの許容範囲を多少広げ、進めながら理解していく必要がある。
  • 人材をイネーブルするための予算を確保せよ。多くのCFOは直線的に考える。「今年は従業員の15%をイネーブルして、翌年も15%。今後5年で進める」と。しかし必要なのは、「野心的かつ攻めの姿勢で、できる限り早く100%に到達する」と言うことだ。そうすれば全社で改善が起き、投資対効果(ROI)を説明可能になる。

人事の動き

  • 医薬品ソリューション企業のCencoraは、エバ・ボラットを新たなエグゼクティブ・バイスプレジデント兼最高財務責任者(CFO)に任命した。6月29日付で発効する。ボラットは、CFOを務めていたBath & Body Worksから同社に加わる。退任するジェームズ・F・クリアリーの後任となる。
  • 害虫駆除ブランドの持株会社Rollinsは、ウィリアム・W・ハーキンスをエグゼクティブ・バイスプレジデント兼最高財務責任者(CFO)に選任した。6月15日付で発効する。ハーキンスは現在、同社の最高会計責任者を務めており、ケネス・D・クラウゼの後任となる。
  • 遊園地運営会社Six Flagsは、アシュ・ワリアを最高財務責任者(CFO)に任命した。6月17日付で発効する。ワリアは同職を務めていたHot Topicから同社に加わり、99 Cents Only StoresおよびStarbucksでもリーダー職を経験している。

数字とコメント

フォーブスは本日、初となる「Iconoclast 50」リストを公開し、ビジネス、金融、エンターテインメント、メディア、テクノロジー分野で最も影響力のある人物の一部を称えた。受賞者は少なくとも1つ以上の他のフォーブスリストに名を連ね、過去2年で自身の業界に意義ある影響を与えている。

2兆5000億ドル(約364兆円):リスト50人の純資産合計

10人:女性の人数

30歳:最年少受賞者の年齢。Kalshi共同創業者のルアナ・ロペス・ララとタレク・マンスール。最年長は、バークシャー・ハサウェイの伝説的な元CEO、95歳のウォーレン・バフェット

戦略と助言

CFOの仕事は決して容易ではないが、昨今はあらゆることが絶えず変化しており、気にかけるべきことがさらに増えている。利益、AI、リスク、投資を懸念する財務リーダーに向けて、戦略的成長へ進むために実行すべき10のアクションを紹介する。

確かに、より成功するための「実証済み」のアクションはある。だがそれが誰にとっても有効だという保証はない。一般に推奨されているとしても自分には機能しない戦略を見極め、機能するものを見つけるための方法がある。

forbes.com 原文

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