AI

2026.06.18 10:00

中国DeepSeek、約1.15兆円を資金調達──ただし、「異例の条件」あり

Erman Gunes - stock.adobe.com

Erman Gunes - stock.adobe.com

中国のAI研究機関であるDeepSeekが、初めて外部資金を受け入れた。同社は、2025年初めにエヌビディアを含むAI関連株の歴史的な急落を一時的に引き起こした、無料チャットボットの開発元である。今回の調達は条件があまりに異例であり、取引の規模そのものに劣らず、その仕組みが注目を集めている。

この資金調達完了を最初に報じたThe Informationによると、DeepSeekは初の外部資金調達ラウンドで500億元(約1.15兆円。1元=23円換算)超を調達した。企業評価額は500億ドル(約8兆円)超となり、中国で最も価値の高いAIスタートアップとなった。

資金は受け入れるが、経営権は渡さない──ほぼ全員に対して

これまでDeepSeekは、外部投資を一切受け入れてこなかった。創業者の梁文鋒(リャン・ウェンフォン)は、自身が創業したクオンツヘッジファンドHigh-Flyerの利益だけで、DeepSeekの資金を全額賄ってきた。

「我々にとって、資金が問題だったことは1度もない。問題は先端チップの輸出禁止だ」と、リャンは2023年に語っている

その状況が今週変わった。そして最も興味深い点の1つがここにある。このラウンドの投資家は、DeepSeekの株式を直接購入したわけではない。The Informationによると、投資家の資金はリャンが支配するリミテッド・パートナーシップ(LP)に投入された。この構造には5年間のロックアップ(売却制限)期間が設けられ、議決権はゼロである。つまり、出資者は持ち分を容易に売却できず、会社の経営にほとんど口出しできないということだ。

テンセントやCATLも出資を検討

今月初め、ロイターは、創業者のリャンがこの資金調達ラウンドで自己資金200億元(約4600億円)の拠出を確約したと報じた。これによりリャンは創業者であると同時に、このラウンドで最大の投資家でもあることになる。さらに、テック複合企業のテンセントが100億元(約2300億円)の出資を検討しており、バッテリー大手CATLが50億元(約1150億円)を検討しているとも付け加えた。実現すれば両社が最大の外部投資家となる。

国家ファンドは議決権を獲得し、ロックアップ期間も設けられていない

一方、中国国家人工知能産業投資基金──北京が戦略的テクノロジー分野への資金供給に活用する国家ファンド──は、LPを経由せずDeepSeekに直接投資したと報じられている。同じ報道によると、この国家ファンドは実際の議決権を獲得し、ロックアップ期間も設けられていない唯一の出資者だという。

次ページ > 「DeepSeekと中国政府は、どれほど近い関係にあるのか」という懸念

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事