トランプからの利下げ圧力は後退
ウォーシュは今年4月、上院銀行委員会に対し、ドナルド・トランプ大統領から利下げを確約するよう求められたことは1度もなく、「(トランプが)それを要求したこともない」と述べていた。バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズの米国経済調査責任者であるアディタ・バーベは今年上旬の報告書の中で、ウォーシュの金利に対する見通しについて「追加利下げを行うよりも、長期にわたる金利据え置きを示唆する内容と極めて整合的である」と分析していた。
トランプは、利下げが行われなければ失望すると述べていた以前の発言を翻し、5月には「彼(ウォーシュ)のやりたいようにやらせる」と語っていた。
今年4月のFOMC会合では、インフレ率が目標値の2%を超えて高止まりする場合、利上げが適切となる可能性があると「大半」の理事が強調していた。また、理事の多くがインフレ率を目標水準以下に戻すには当初の想定よりも時間がかかってしまう「リスクが高まっている」との見解を示していた。
元FRB理事のウォーシュは、難航した指名承認手続きと、利下げを踏みとどまらせる要因となるインフレの急進期を経てFRBのトップに就任した。5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で4.2%の上昇となった。年間インフレ率が4%の大台を超えたのは2023年5月以来で初めてのことであり、同年4月以来の高水準を記録した。
イラン紛争に伴う原油やガスの価格高騰を受けたインフレの加速、および5月の雇用統計が市場予想を上回る堅調さを示したことから、市場では12月までの利上げを予想する確率が60%近くにまで高まっている。
なお、今回の会合には、トランプから利下げへの「対応が遅すぎる」と批判されていた前議長のパウエルも理事の1人として出席した。パウエルは前回のFOMC会合で、自身の任期が2年残っていることを理由に今後も理事会にとどまり、「未確定の期間」は在任を続ける意向を示した。


