ポップコーン・タイムは、ネットフリックスに似たアプリケーションで、BitTorrentのネットワークを使って膨大な数のテレビ番組や映画を視聴できる。全て無料で利用できるため、ネットフリックスにとっては大きな脅威となっている。多くの地域が、ポップコーン・タイムを厳密には違法としているが、映画を分割して複数の海賊版サイトからストリーミングをするため、著作権ホルダーによる海賊版コンテンツの検知システムをくぐり抜けやすく、従来の海賊版のダウンロードに比べて「安全」とされている。
しかし、現在のところ、ポップコーン・タイムは機能しておらず、アプリを起動すると、「サーバーに接続できません」というエラーメッセージが表示される。状況についてはポップコーン・タイムのサイトで確認できるとのコメントが表示されるが、サイトにアクセスすると、YTSにエラーが発生していることがわかる。YTSとは、滑らかなストリーミングを可能にするために、ポップコーン・タイムが使用している動画インデックス保存用の分散型メディアサーバーのことだ。つまり、ネットフリックスの最大のライバルであるポップコーン・タイムの中核をなす機能がオフラインとなっており、このまま永久にサービスが閉鎖される可能性もある。
これは、ネットフリックスにとっては朗報だが、この状態がずっと続く訳ではないだろう。YTSサーバーは間違いなくバックアップされているだろうし、アメリカ映画協会(MPAA)などが海賊サイトを閉鎖に追い込んでも、またすぐに復活するからだ。
しかし、今回のYTSのトラブルにMPAAが関与した兆候は見られない。Webサーバーが原因のエラーではなく、「コンテンツが利用できません」や「サーバーに接続できません」といったメッセージは表示されない。しかし、サイトはまるでソースコードが処理されていないように全くの空白で、とても奇妙だ。
さらに不思議なことに、ポップコーン・タイムは10月19日にブラウザ向けの新バージョン「Popcorn Time for Browsers」をローンチしたが、その直後に同サービスは閉鎖され、その後約一日の間に異なるサーバーで再開と閉鎖を繰り返していたのだ。
15歳のMilan Kragujevicが開発したPopcorn Time for Browsersの機能はポップコーンタイムと変わらないが、Webブラウザ上で動作するため、海賊版をダウンロードする必要がなく、多くのユーザーにとって使いやすくなっている。browserpopcorn.bizというサイトから利用ができるのだが、恐らくはYTSからストリーミングができないために、現状は動画の視聴はできない。