食&酒

2026.06.19 14:45

韓国でいちばんの移民街「安山多文化特区」の多国籍な人たちが織りなす驚きの週末の光景

週末の韓国京畿道、安山市の多文化特区には多国籍の外国人住民であふれていた

もう一度訪ねる価値のある町

こうしたいくつか観察されたこともそうなのだが、この町には筆者をもっと驚かせたことがあった。それはアジア系の飲食店や商店が多く並ぶ通りの一部に、ロシアレストランや食材店が点在していたことだ。

advertisement

あるロシア系と思われる現代的なスーパーに入ると、ロシアビールの「バルチカ(Балтика)」や各種ウォトカ、ユーラシアでよく飲まれているザクロジュース、赤ちゃんのパッケージが有名なロシアチョコレートの「アリョンカ(Алёнка)」などが、小ぎれいに陳列されていた。

ロシア食材店にはさまざまな彼の地の食材が売られている。ユーラシア圏や中央アジアの住民も多いことがわかる
ロシア食材店にはさまざまな彼の地の食材が売られている。ユーラシア圏や中央アジアの住民も多いことがわかる

その店のレジでアルバイトしていたのが、顔つきから見て明らかにコリア系とロシア系のハーフ、あるいはクォーターと思われる高校生くらいの年頃の娘さんだった。彼女は韓国で「高麗人(コリョサラム)」と呼ばれる、ロシアやウズベキスタン、カザフスタンなどの旧ソ連諸国に居住する、朝鮮半島出身の移民の子孫だと思われる。

筆者はその店のショーケースを眺めていて懐かしい気分になり、ロシアンハーブティーのティーパックを買い求めた。そのとき、レジ越しに不躾なことは承知で「どこから来たの?」と尋ねたところ、少し恥じらいのこもった微笑みまじりに「ウクライナ」と彼女は答えた。

advertisement

半島とはいえど、韓国は日本と違い、大陸的な要素を色濃く有する社会なのだ。この町で起きていることは、ソウルの新興チャイナタウンである大林を歩くだけでは見えてこないことを思い知らされた。

この30年で韓国には、日本人が知らない複雑かつ多様な多文化社会が生まれていることも強く実感した。安山はあらためてもう一度訪ねる価値のある町だと思ったのだった。

安山駅前の露店には、ムスリム女性が被る「ニカブ」と呼ばれるベールが売られていた。背後に見えるのは、主に韓国の人たちが住む団地群である
安山駅前の露店には、ムスリム女性が被る「ニカブ」と呼ばれるベールが売られていた。背後に見えるのは、主に韓国の人たちが住む団地群である

文・写真=中村正人

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事