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経営・戦略

2026.07.02 15:15

『エフェクチュエーション』の伝道師吉田教授が語る「中小企業こそ本理論を使え」

これまでこの連載で、4つの事例を紹介してきた。岡崎で90年続く石材店蒲郡の小さな水族館石垣島の泡盛蔵岐阜の樹脂成型の町工場。業種も規模もばらばら。だが、誰が見ても、どの業界はもう先はなく厳しいだろうと思うに違いない。

墓じまいが進み、石材需要はピーク時の半分以下に落ちた。大型館に押されて水族館の来館者は12万人台まで減り、議会で廃館が議論された。泡盛は若者の酒離れで右肩下がり。樹脂工場は売上の九割を占めた100円ショップ向けの下請けを失い、4割減に沈んだ。市場の数字を前にすれば、その嘆きはどれも正しかった。

それでも、4社は息を吹き返した。稲垣石材店では、捨てていた端材から生まれた石の器が、国内外のミシュラン星付きレストランや、レクサス、中川政七商店へと渡っていった。竹島水族館の来館者は約48万人と、4倍に回復した。クセが強すぎると言われた池原酒造の泡盛白百合は、世界一とも称されるレストランnomaの食後酒に選ばれ、売上は4年で3倍。服部樹脂の穴のない花器は、いま全国の花屋の定番になっている。

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このうち、稲垣石材店、池原酒造、服部樹脂の3社には、私自身が伴走者として関わってきた。竹島水族館館長の小林さんは友人で、彼が率いた再生だが、同じ理論で鮮やかに読み解ける。業種も成り立ちも異なる4社に、共通点はあるのか。その問いを、エフェクチュエーション研究を日本に広める第一人者、『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』( ダイヤモンド社刊)の著者でもある神戸大学の吉田満梨教授にぶつけた。


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エフェクチュエーションは、いま経営者やビジネスパーソンのあいだで急速に知られはじめている考え方だ。提唱したのはサラス・サラスバシー。彼女自身が、学生時代から15年、七転八倒しながら事業を続けた起業家だった。なぜ自分が苦労して身につけたことを、ビジネススクールは教えてくれなかったのか。その問いから研究の道に入る。

転機は、ノーベル賞経済学者ハーバート・サイモンとの出会いだった。彼女は、起業家が何を語るかではなく、どう考えているかを丸ごと記録する手法を選び調査を進める。

次ページ > 浮かび上がった「予測や計算では説明できない判断の型」

文=吉田満梨 編集=石井節子

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