【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

経営・戦略

2026.07.02 15:15

『エフェクチュエーション』の伝道師吉田教授が語る「中小企業こそ本理論を使え」

対象は、27人の熟達した起業家。創業から10年以上の経験を持ち、2億ドルから65億ドル規模の会社を築いた人たちで、熟達の基準を満たす145人の創業者から無作為に選ばれた。彼らに17ページ、10問からなる架空の事業の課題を渡し、考えている中身をそのまま声に出してもらう。その記録から、予測や計算では説明できない判断の型が浮かび上がった。それが5つの原則になった。手中の鳥、許容可能な損失、クレイジーキルト、レモネード、そして飛行機のパイロットである。

advertisement

ここで私には引っかかりがあった。これは2億ドル企業を育てた起業家の話ではないか。岡崎の石屋や石垣島の小さな蔵に、本当に効くのか。

吉田さんの答えは明快だった。効く、と研究は示しています、と。「Small Business Economics」誌(スモールビジネスエコノミクス:シュプリンガー・ネイチャー社が発行する査読付き学術誌。中小企業研究のトップ誌)でも、エフェクチュエーションは中小企業が用いる戦略の一つとして整理されている。大事なのは、これが行き当たりばったりとは違うという点だ。服部樹脂の服部建夫社長は、自社の歩みを行き当たりばったりの連続だと謙遜する。だが、出たとこ勝負に見える行動の裏には、別の論理が働いている。戦略がないのではない。エフェクチュエーションという戦略を、無自覚に使っているのだ。

では、計画はいらないのか。私はそうも尋ねた。経営方針を立て、事業計画をつくる。中小企業の支援は長らくこうした営みを重んじてきた。これは予測から逆算するコーゼーションという手法にあたる。

advertisement

吉田さんの整理はこうだ。コーゼーションは、使えるときには使うべきです、と。目的が定まり道筋が見えるなら、そのほうが人にも説明しやすい。ただ、それが効かない場面が中小企業にはとりわけ多い。目指す姿がまだ定まらない。あるいは目的はあっても、必要な資源を自分たちが持っていない。そうした行き止まりで、モードを切り替える。資源に限りがあるぶん、中小企業ほどこの切り替えを多く迫られる。

次ページ > 「エフェクチュエーション」を復習する

文=吉田満梨 編集=石井節子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事