音楽

2026.06.17 15:32

テイラー・スウィフトも実践した「最初の100人のファン」獲得術

stock.adobe.com

stock.adobe.com

すべてのスーパースターは、かつて最初の100人のファンを獲得しようと奮闘していた。ソールドアウトのアリーナ公演、プラチナ認定、熱狂的なファンダムが生まれる前には、最初に駆けつけてくれた一握りの人々がいた。アーティストが初期の支持者たちをどう扱うかが、キャリアの次のステージに進めるかどうかを左右することが多い。

新進アーティストが活動のごく初期にファン獲得をどう考えるべきかを掘り下げるため、筆者は4人の音楽マーケティングの専門家に同じ質問を投げかけた。「最初の100人のファンをつくるために、アーティストが頼るべき最も重要なマーケティング施策またはツールは何か」。回答は、テクノロジーを活用したファン情報の獲得から、会いに行って握手するという古典的な方法まで幅広かった。だが、共通していたのは次の一点である。最初の100人のファンはアルゴリズムで見つかるのではない。意図と献身によって勝ち取られるのだ。

物販テーブルをすべて「ミート&グリート」と捉える

TRACK mgmtでマーケティング&デジタル戦略責任者を務めるケルシー・ミドルトンは、駆け出しのアーティストにとって最も活用されていない資産はプラットフォームではなく「時間」だと主張する。「ファンベースが小さいほど、より深い関係を築ける」と彼女は言う。「出演順が3組中トップバッターなら、毎晩物販テーブルに並ぶファン全員に会う時間を確保すべきだ」

ミドルトンはまた、対面の瞬間を持続的な関係へ転換することの重要性も強調する。Set.LiveやLayloといったツールを使うのだ。これらはライブイベントでファンの連絡先を収集し、後からフォローアップできるよう設計されたプラットフォームである。

これは、今や誰もが知る存在となったアーティストたちが、何の基盤もない頃から直感的に理解していた戦略でもある。テイラー・スウィフトは、記録破りの現象になるはるか前から、初期のクラブや劇場ツアーでのミート&グリートで「近い存在」として知られていた。写真を撮り、メモを書き、一人ひとりのファンに自分が見られていると感じさせた。その個人的な投資が、音楽史でも屈指の忠実なファンベースの礎となった。

音楽の背後にいる「人」を見せる

LabelWorxでシニア・アーティスト&レーベル・ストラテジストを務めるダン・グッドウィンは、現在の状況を率直に語る。もはや良い音楽だけでは不十分だ。「潜在的なファンベースに舞台裏を見せ、音楽だけでなく一人の人間としてつながることで、受動的なリスナーではなく、キャリアを支えてくれる真のファンベースを育てることができる」と彼は言う。ただし同じくらい重要な注意点もある。オーセンティシティ(本物であること)は必須だ。「カメラに向かって話す動画をやりたくないのなら、その気持ちは99%の確率で表に出る」

チャペル・ローンは、近年この原則を体現した最も象徴的な例だろう。「Good Luck, Babe!」がポップカルチャーを席巻するはるか前から、ローンは容赦ないほど率直なSNS発信によって初期の熱心な支持層を築いた。ドラァグに着想を得たルック、音楽業界への生々しいコメント、そして誰とも混同されないほど特異な個性。彼女は大衆受けするように自分を包装していたわけではない。自分自身であり続けた結果、ふさわしい人々が彼女を見つけたのだ。メインストリームが追いついた頃には、核となるファンベースはすでに何年も前から投資していた。

オープンマイクを軽視しない

Buvision社の社長マリク・ウィルソンは、新進アーティストのキャリアにおいて最も見過ごされがちな「場」の価値を説く。「オープンマイクは、最初の100人のファンをつくる最良の方法のひとつだ」と彼は言う。「観客は新しいアーティストを応援しようとして来ているので、この段階では本物のファンになってくれる可能性が高い」。ウィルソンはコミュニティの側面も指摘する。オープンマイクに出るほかの出演者は、将来のコラボ相手であり、つなぎ役であり、拡散役にもなり得る。「口コミを侮ってはいけない」と彼は付け加える。「心から感動した20人がいる部屋は、想像以上に遠くまで届く」

ビリー・アイリッシュとフィニアスは、「Ocean Eyes」が2015年にすべてを変える以前、親密な空間や地域のショーケースで何年も演奏を重ねていた。そうしたリスクの低い場所で培った人間関係や創作の勘は、基盤となった。そしてウィルソンが語るクリップカルチャーこそが、ダンスクラス用にアップロードしたSoundCloudの曲が人から人への共有で拡散し、アイリッシュ時代の幕開けとなったものだ。部屋は小さかった。だがリーチは小さくなかった。

身内をストリートチームに変える

一流の音楽アーティストやブランドと仕事をするマーケティング・エージェンシー創業者のジャッキー・カラスコは、「最初の100人のファン」という問いそのものを捉え直す。「多くのアーティストは見知らぬ人に届かせることに意識が向きすぎて、すでに味方でいてくれる人を見落としている」と彼女は言う。戦略は、身内を仕組みの一部にすることだ。「親友にSNSを手伝ってもらう。映像制作者の友人を巻き込む。家族に最新リリースをシェアしてもらう」

これは新しい発想ではない。業界が過小評価しがちなだけだ。ビヨンセの最初期の支援者は、家族、ヒューストンの教会コミュニティのメンバー、そしてレーベルの仕組みが存在する前にデスティニーズ・チャイルドを後押しした地元の業界関係者だった。より最近では、アイス・スパイスのブロンクスからの台頭は、ドレイクの後押しと「Munch」の爆発で世界的な注目を集める前の最初期段階で、友人、地元のクリエイター、コミュニティからの支持という緊密なネットワークによって加速された。アーティストに最も近い人々は、単なる支援者ではない。最初のストリートチームなのだ。

結論

ゼロからファンベースを築くことは、マーケティング手法というより、つながりの深さにかかっている。前座の出演後に物販テーブルで粘ることでも、コンテンツに人格をにじませることでも、オープンマイクで15人の前で演奏することでも、グループチャットを動かすことでもよい。最初の100人のファンは、自分たちが大切にされていると感じられるアーティストに反応する。なぜなら、その段階では彼らこそが重要なのだからだ。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事