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教育

2026.06.26 17:30

【対談】教育界のノーベル賞受賞者×実務家校長「アントレ教育」は夢を叶える技術だ

正頭英和(立命館小学校教諭)・生井秀一(茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校校長)

生井秀一(以下、生井私が赴任した3年前、探究の授業は「テスト勉強」の時間と化していました。「受験になんの意味があるのか」と。私は、これからの社会で必要とされているのは、人と協調し、ぶつかり合い、落としドコロを見つけ、物事を進めていく力であり、それを支えるためのコミュニケーション能力だと思っています。だからこそ、少しずつ変革を進めてきました。下妻一高のアントレプレナーシップ教育は、生徒の主体性や創造性を引き出すためのユニークな学習体系を核にしています。1年次で地域課題解決、2年次で専門「ラボ」に分かれ、学校が掲げる「逆境に立ち向かう力」を養っていく。今では楽天やLINEヤフー、地元企業と連携し、外部企業の協力を得ながら、ビッグデータ分析や商品開発、ふるさと納税返礼品の企画など、実社会と結びついた実践を展開しています。デジタルと探究を両輪としたプログラムを実践している最中ですね。

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やりたいことは体験に紐づく

正頭:僕が行っている「お金の授業」では、子どもたちに「好きに使っていいよ」と本当に10万円を渡します。その代わり期日がきたら返してねと。最初は「使わんかったらいい」と言ってた子どもたちも「それって面白くないよね」と試行錯誤し出す。「何する? なんかつくってみる?」と言い出すわけです。僕は売る場所(学園祭)だけは提案するんですが、それ以外は議論させる。去年は、「体験だったら売れるんじゃないか」と学園祭を舞台にした「謎解き地図」を販売していました。謎解きのプロを呼んで謎解きのつくり方を教えてもらったり、印刷したり、と、それも10万円のなかから出すわけです。結局8000円くらいの利益が出ていました。時給換算したら50円くらいのもうけかもしれませんが、いい経験です。3学期になると生徒たちそれぞれのプロジェクトをやってもらうのですが、そのころにはこれまでの体験を元に「あれがやりたい」「これがやりたい」という状態に。子どもたちのやりたいことはゼロイチで生まれるわけではなく、体験に紐づいていますから。

生井:面白いですね。僕らの場合は、外部の企業にかかわっていただいて、「フィードバックの質」が変わってきました。例えば、地元企業と楽天ふるさと納税の仕組みを使って、下妻市の梨を商品化して楽天で販売しました。データによるフィードバックがあるわけです。「50個中2個しか売れてません」と。最初は生徒たちもゲーム感覚で甘い考えでしたが、「余った在庫はどうするのか」「廃棄になると地元企業にも迷惑がかかる」「48個、残りの販売期間でできることを考えよう」と言うと、生徒たちも目の色が変わり、ビラをつくったり、販売サイトを工夫したりするようになった。失敗して、新たに課題設定するというサイクルを社会に近づけることで、生徒も本気になる。そんな好循環が印象的でした。

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生井秀一◎茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校校長。1999年、花王に入社し、DX戦略推進センターEC推進部長などを歴任。2023年、茨城県内の中高一貫校の校長公募プログラムで選出され、24年4月から現職。
生井秀一◎茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校校長。1999年、花王に入社し、DX戦略推進センターEC推進部長などを歴任。2023年、茨城県内の中高一貫校の校長公募プログラムで選出され、24年4月から現職。
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文=加賀直樹 写真=平岩 亨

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