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2026.06.25 13:15

世界のフィランソロピー最新潮流 お金を出すから社会変化の土壌を耕す時代へ

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「関係性」「知の循環」も射程に

第三の潮流は、地域、NPO、資金提供者の「関係性」を組み直す流れである。資金の出し手と受け手の信頼を重視する「トラスト・ベースド・フィランソロピー」、地域や当事者が助成先を選ぶ「参加型助成」、現地や地域に資金配分の権限を移す「ローカライゼーション」は、いずれも「誰が資金の使い道を決めるのか」を問い直す動きである。資金の出し手と受け手の関係を、より対等で公正なものへ組み直そうとしている。

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こうした動きは、短期成果だけではとらえにくい価値への再評価でもある。地域との信頼関係、孤立した人とのつながり、当事者同士の支え合いは、数カ月や一年で簡単に生まれるものではない。複数年で使途を細かく縛らない資金も、この流れにある。成果を急がせず、関係性が育ち、変化に応答できる土壌を支える資金が見直されている。

最後となる第四の潮流は、助成を通じて生まれた「知」を循環させる流れである。先端的な資金提供者のあいだでは、資金提供を通じて社会課題やその解決に関する知を生み出し、公共財として共有し、フィールド全体の学習速度を高めようとする動きが始まっている。日本でも、システムチェンジの実践から得られた知見を報告書としてまとめることを成果物に位置づけるプログラムや、助成と同じテーマでメディアを立ち上げ、助成とメディアを連動させて学びを循環させる試みが始まっている。また、私が副編集長を務める「SSIR-J」でも、民間財団と協力し、資金提供から生まれる学びを社会に還元する取り組みが始まりつつある。

資金提供者の価値は、今や資金量だけでなく、知の流通量でも問われ始めている。現場の学びを内部にためず、どう社会へ返すのか。資金提供者は、知の所有者ではなく、知の媒介者になろうとしている。

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この4つの潮流が示すのは、フィランソロピーの役割そのものの変化である。これからのフィランソロピーの力は、資金の構造を設計し、担い手を支え、関係性を育て、知を循環させられるか。資金を出すことから、社会変化が起きる条件を耕すことへ。その静かな再設計が、世界で始まっている。


井川定一◎一般社団法人トラスト・ベースド・フィランソロピー・ジャパン(TBP-J)共同代表理事、SSIR-J副編集長。国際NGO、AVPNを経て、日本と世界の実践知をつなぎながら、社会変革を生み出す資金提供設計とメディア運営に取り組む。

文=井川定一

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