経営・戦略

2026.06.17 10:00

マスクが仕掛けるAI覇権争い、スペースXが9.6兆円でCursorを完全子会社化

Samuel Boivin/NurPhoto via Getty Images

Samuel Boivin/NurPhoto via Getty Images

スペースXは米国時間6月16日、AIコーディングプラットフォームのCursor(カーソル)を600億ドル(約9兆6200億円)で買収すると発表した。スペースXは12日に華々しい上場を果たしたばかりで、その時価総額は2兆5000億ドル(約329兆円)を突破している。

スペースXは米証券取引委員会(SEC)に提出した書類の中で、カーソルの親会社であるエニースフィアを買収し、同社を完全子会社化することを明かした。この買収手続きは2026年第3四半期までに完了する見込みだ。

今年4月、スペースXはカーソルとの提携を発表し、「コーディングおよびナレッジワーク向けAI」の分野で共同開発を行うと述べていた。

スペースXは当時、この共同開発のためにカーソル側に100億ドル(約1兆6000億円)を支払うか、あるいは600億ドルで同社を完全に買収する権利を確保していると説明していた。

スペースX傘下のxAIが手がけるチャットボットのGrokは、アンソロピックのClaude CodeやオープンAIのCodexといった他のAIコーディングツールとの競争に苦戦しており、今回のカーソル買収はこの分野での競争力を高めるための試みとみられる。

アンソロピックがAIコーディング分野での成功によって勢いづくなか、Grokは今年、Claudeに対して市場シェアで遅れをとっていた。

スペースXは12日、総調達額850億ドル(約13兆6000億円)、時価総額2兆ドル超えという過去最大規模の新規株式公開(IPO)により上場を果たした。この華々しいデビューにより、イーロン・マスクは世界で初めて「トリリオネア(資産額が1兆ドルを超える大富豪)」の称号を獲得している。同社の株価は週明け15日にも続伸して約20%高となり、その時価総額は2兆5000億ドルを突破して世界第6位となっていた。

スペースXの株価は16日早朝の時間外取引(プレマーケット)でも高騰を続け、カーソルとの買収合意が発表される以前に約10%高となっていた。買収発表後に上昇幅はやや縮小したものの、米国記事執筆現在、同じくプレマーケットで5.64%高の203.40ドルで取引されている。

カーソルは6月に年換算売上高が40億ドル(約6420億円)に達したと報じられている。

フォーブスの『リアルタイム・ビリオネア・リスト』によると、カーソルを共同創業したアマン・サンガー、アービッド・ルネマーク、スアレ・アシフ、および現CEOのマイケル・トルーエルの4人は、それぞれ推定13億ドル(約2090億円)の資産を保有している。

マサチューセッツ工科大学を中退した4人は、同社が約300億ドル(約4兆8100億円)の評価額で資金調達を実施した2025年11月にビリオネアの仲間入りを果たした。なお、ルネマークは同年10月にカーソルを離れ、「より安全なAI」に特化した自身のスタートアップを立ち上げている。

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翻訳=江津拓哉

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