AIが急速に進化する時代において、新たなAIネイティブ企業をどのように舵取りしていくべきか。この問いに直面しているのは、数週間前にMITなどの卒業式を終え、まさにこれから起業しようとしている若者たちも同様だ。
AIスタートアップのリーダーにとって価値ある助言は、一般的な事業戦略から法規制への対応まで幅広い。だからこそ、起業家が創業期を乗り切るためには、「守るべきルール」と、「柔軟に応用できる原則」とを区別して捉えることが重要なのだ。
MITカンファレンスの所感
今年4月、筆者が毎年運営に携わっているイベント「Imagination in Action」がマサチューセッツ工科大学(MIT)で開催された。今年は、AIで変革が進む業界から3名のビジネスリーダーを迎え、パネルディスカッションが行われた。リリー・ライマンがモデレーターを務めたセッションでは、Hi Marleyのジョナサン・タッシュマン、Bizenのジョーダン・ハヤシ、Intuitive Motionのセシリア・リウへのインタビューを通じて、AIスタートアップを適切に立ち上げる方法や、陥りがちな落とし穴を回避するための術について掘り下げた。
AIビジネスの戦略
建設業界を顧客とするハヤシは、自社のアプローチについて次のように語った。
「AI時代で大きく変わったのは、顧客の現場にこれまで以上に寄り添えるようになったことだ。建設業では、現場で起きた出来事が、その後のあらゆる業務へと波及していく。そのため、作業員が現場でスマートフォンを取り出し、重要な情報を記録できれば、それをもとにメモの作成やコミュニケーションの円滑化、さらには見積もり、請求、原価計算といった業務まで支援できるようになる。システム導入において最も重要なのは、現場が使いこなせるか、そして使い続けてくれるかという点だ。だからこそ、顧客が日々システムを使い続けてくれている現状は、嬉しい驚きだった」。
保険金請求のビジネスを展開するタッシュマンは、法規制への対応について次のように語った。
「ここに登壇している企業は、SOC(System and Organization Controls)に準拠しているはずだ。かつては私自身、それこそがコンプライアンスの最高水準だと考えていた。しかし、業界トップ10に入るような大手保険会社がベンダー監査に入ると、それとは別次元の厳しさを突き付けられる。彼らにとって、AIのような出力が予測できない非決定性システムを実務に導入するということは、その影響がシステム全体の設計と運用に及ぶことを意味するからだ。非常にチャレンジングな領域だと言える」。



