経営・戦略

2026.06.17 06:10

AI時代のブランド戦略、勝敗を分けるのは「リアルの話題性」

stock.adobe.com

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現実世界でのアクティベーションは、単に「瞬間」をつくるのではない。シグナルをつくる。そして2026年、シグナルはAIが動くための通貨である。

実務で言えば、こういうことだ。ブランドがソーホーでポップアップを開いたり、オースティンのランニングクラブでサンプリング施策を実施したり、ロサンゼルスのダウンタウンでゲリラ的なマーケティングスタントを仕掛けたりするとき、それは人々が体験する「出来事」を生むだけではない。共有したくなるイベントを生む。YouTubeクリエイターの週間まとめに載る。人々が実際にシェアしたくなるUGC(ユーザー生成コンテンツ)になる。広告費を投じなくても伸びるソーシャル投稿を生む。その週、業界の誰もが話題にする「何か」になる。

こうしたアウトプットの一つひとつが、AIに「このブランドは動いている」「信頼できる」「関連性がある」「推薦する価値がある」というシグナルとして拾われ得る。

データもそれを裏づける。AhrefsはChatGPT、Google AIモード、Google AIオーバービューにまたがって7万5000ブランドを分析し、YouTubeでの言及が、ブランド名を含むウェブ上の言及、ブランド名のアンカーテキスト、ブランド検索ボリュームなど、計測した他のあらゆる要因を含めて、AI上での可視性と最も強い相関を示すことを突き止めた。よく考えてほしい。

Muck RackがAIモデルに引用された100万超のリンクを分析したところ、89%がアーンドメディア由来だった。有料でも、オウンドでもない。アーンドだ。誰かが「共有する価値がある」と判断したときに生まれる種類のメディアであり、それはブランドが「共有されるに値すること」をやったからこそ起きる。

AIは、あなたがどれだけ発信したかを気にしない。気にするのは、他者があなたについて何を言っているかだ。

私は20年以上にわたり、ブランドのために現実世界でのアクティベーションを構築してきた。ポップアップ、サンプリングプログラム、ワイルドポスティング施策、プロジェクション、ストリートチーム、主要都市でのカンファレンス周辺のスタントなどだ。そして、過去12カ月で変わったことを伝えよう。インバウンドの様相が違う。グロースマーケターが私のエージェンシーに電話をかけてくる。パフォーマンスチームから連絡が来る。過去5年、デジタルファネルの最適化に費やしてきたCMO(最高マーケティング責任者)が電話をしてくる。彼らは皆、同じことを言う。「リアルでのアクティベーションが必要だ」。では、その理由を分解していこう。

アーンドメディアこそ、AIが本当に愛するもの

PR会社は、何もないところからは提案できない。共有する価値のあるものが必要だ。深いリサーチスタディはAIシステムに取り込まれやすいが、毎週それを生み出せるだろうか。

現実世界でのアクティベーションは、その問題を解決する。アート地区でのポップアップは、単に来場者を生み出すだけではない。実物の証拠を伴うストーリーをPR会社に提供する。クリエイターにとっての目的地になる。曖昧さではなく具体性を伴うレビューを生む「発見の瞬間」になる。AI生成のプロダクトショットではない、本物の人々が本物の場所で本物の反応を示す、真のソーシャルコンテンツになる。

ROIの問いは変わった。もはや「ポップアップにいくらかかり、何人が入ってきたか」ではない。「AI上の可視性を支えるあらゆるチャネルにわたり、ポップアップが下流で何を生んだか」だ。これは通常、まったく違う——そしてはるかに大きい——数字になる。

アーンドでの露出がAIにとって重みを持つのは、人間にとって重みを持つのと同じ理由からだ。誰かが共有することを選んだ。あるいはジャーナリストが取り上げることを選んだ。その判断は、ブランドのオウンドコンテンツでは再現できない信頼性のシグナルである。

アクティベーションは証拠だ。トレンドは物語だ。PRチームに「瞬間」を渡せば、彼らはナラティブを構築できる。

消費財であれB2Bであれ、関係ない。私が突破していくのを見ているブランドは、業界記者が指し示せるもの、LinkedInのまとめ投稿者が参照できるもの、ポッドキャストのホストが例として持ち出せるものをやっている。アクティベーションは、コミュニケーションの仕組み全体に「材料」を与える。

ボーナス:アーンドメディアはインフルエンサーの粗製乱造も解決する

インフルエンサーがキッチンに座ってあれこれ語るだけのコンテンツに、ほぼ誰もが疲れている。現実世界の瞬間を与えれば、コンテンツの次元が丸ごと変わる。TikTokでは、正面から話すだけのプロダクトレビューと、実生活で何かが実際に起きているからこそスクロールを止めさせる動画の違いになる。Instagramでは、フラットレイと、人々が実際にシェアするリールの違いになる。YouTubeでは、開封動画とストーリーの違いになる。

YouTubeは、リーチを生むだけではない。文脈を生む。ブランドについての動画は、それが何をし、誰に向け、どう比較され、試してみると実際にどんな感覚なのかを説明する。それはまさに、AIシステムがカテゴリーとの関連性やブランドの正当性を理解するために用いる、多面的なシグナルの類いである。だがクリエイターは、何もないところからそのコンテンツを製造しているわけではない。材料が必要だ。

業界ニュースレターの執筆者、週間まとめをするポッドキャストのホスト、LinkedInの論評者——彼らは皆、目立つリアルの出来事を材料にしたい。なぜか。それがオーディエンスに響くからだ。

AIフライホイール

現実世界で人々の話題になるものは何であれ、AI上の可視性にとっての増幅装置になる。

AIフライホイールはこう回る。現実世界のアクティベーションが、オーガニックなソーシャルでの露出と口コミにつながる。それが実物の証拠を伴うPRの提案を可能にし、YouTube、TikTok、Instagramのクリエイター露出につながる。さらにそれがアーンドメディアと報道、ウェブ全体に刻印されたタイムスタンプ付きの公的シグナルへと波及し、最終的にブランドのAI上の可視性へと至る。

このフライホイールから現実世界のアクティベーションを抜けば、下流のあらゆるチャネルは埋めにくくなる。入れれば、全体が自走して回り始める。

現実世界から始めよ

私のエージェンシーでは、すべてのクライアントとの会話を1つの問いから始める。本当の目標は何か。答えが、全社的なインパクト——可視性、カテゴリーにおける権威、複利で積み上がる勢い——であるなら、それを実現するフォーマットに入っていく。ポップアップ、サンプリングプログラム、ワイルドポスティング施策、ストリートチーム、プロジェクション、カンファレンス周辺のスタント、リテールでのアクティベーションは、現実世界を動かし、AIへと増幅する戦略である。

AIの回答に登場するブランドは、発信量を増やしてそこへ到達したのではない。世界が話題にするのを止められない何かをやったから、そこにいる。

次はあなたの番だ。

forbes.com 原文

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