2026年上半期、100社を超えるテック企業がレイオフを発表し、(執筆時点で)合計10万件超の雇用が失われた。多くはAIを要因として挙げたが、その一部は典型的なコスト削減や、過剰採用の修正であることも明らかだった。このアプローチの問題は、経営陣が単に「人員を減らしても組織の構造が持ちこたえる」ことを期待している点にある。しかし、多くの場合この種のレイオフは中途半端な措置にとどまり、たいてい6カ月後に次の追加削減を迫る。
テック企業がAI起因の縮小後に実際に業績を改善したいのであれば、まず組織構造を再設計し、その上で、その構造の中にどの役割がなお合理的に残るのかを決めるべきである。
組織図は別の時代のために作られた
テック業界のリーダーであるMolly Grahamが語った「レゴを手放す」という比喩は、ある世代のオペレーターがスケーリングについて考える際の枠組みを形づくってきた。自社が追いつけないほどの速度で成長し始めたときの感覚を言い表している。やがて、自分の責任の一部をチームメイトに委ね、さらに大きな塔を築くために、新しいピースを探して遊ぶ必要が生じる。
しかし、規模が一段階変わるたびに、組織図には新たな複雑性の層が持ち込まれる。例えば、戦略立案、実行、分析を一手に担っていた単一の役割が、3つの別々の役割へと分解されることがある。その結果、業務遂行がボトルネックになる可能性がある。なぜなら、実行すべき仕事には人手が必要だからだ。
AI導入の広がりとともに、複雑な組織構造は時代遅れになりつつある。実行と分析を担う層は、かつてほど組織を支える存在ではなくなり、成長を可能にするものと見なされてきたその層こそが、いまや成長を阻む要因になっている可能性すらある。だが、こうした局面で通常のレイオフを行っても、経営陣が望むほどの変化は起きない。必要なのは構造の再設計である。
削減の前に、仕事を仕分ける
組織再編の場面では、本能的に「人」を見て、誰が高コストか、誰が冗長か、誰が低パフォーマンスかを見極めようとする。しかしそれは、求める成長を損なう恐れがある。なぜなら、実際に仕分ける単位は人ではないからだ。仕事である。
AIの導入は、何の仕事をより効率的に実行できるかだけの話ではない。活用するツールは、その仕事を効果的に実行できなければならない。実行できるのなら、次の問いは「それを担うエージェントを誰がオーケストレーションするのか」である。その仕事は組織の上位レイヤーへ移るのか。あるいは、すでにそれを行っている人に残し、より高インパクトな仕事に時間を振り向けられるようにするのか。ここにこそ、組織再設計が最も重要となる理由がある。
AI時代の組織再編では、仕事を3つに仕分けする。
・リーダーのもとに戻す:これは、リーダーが時間切れのために手放してきた仕事である。例えば、戦略に集中するために実行から退く、といったものだ。旧来の制約下では合理的な委譲だった。しかしAIを活用すれば、1人の人間が持続的に担える範囲は広がる。この転換によって、リーダーは「事業を俯瞰して動かす」だけでなく、「事業の中で働く」ことに戻れる。
・塔から完全に外す:ある種の仕事は、タスク量の多さに合わせて人員を増やしてきた結果として存在していたにすぎない。例えば、主な責務が他者の役割を調整することにある職種がある。こうした仕事は再設計の過程で消えるのが一般的であり、その仕事をしていた人は職を失うことが多い。
・本来の形に戻す:判断、コーチング、顧客関係、重大な意思決定、クリエイティブ・ディレクションは、常に役割の中で最も重要な部分だった。しかし、調整に伴うオーバーヘッドがカレンダーを埋め尽くすと、こうした要素は圧迫される。AIがそのオーバーヘッドを吸収すれば、役割は本来あるべき仕事へと回帰できる。
再設計の扱い方が重要である
適切な構造上の意思決定をしても、その人的コストが消えるわけではない。こうした移行では現実の人が現実の仕事を失うため、将来の成長への楽観は、影響を受ける人々への共感と釣り合っていなければならない。彼らは手放す会社にとって価値ある存在だったし、次の会社にとっても価値ある存在になる。「そうだ」と言い、そして本気でそう思うことは、何のコストもかからない。そのうえで、在籍年数を尊重した退職金、何がなぜ変わるのかに関する透明性、良い着地先を見つけるための実効的な支援といった行動で裏づけるべきだ。こうした行動は、残る従業員に対しても、意思決定に関与した人々が思慮深く取り組んだことを示すシグナルとなる。新しい組織は、共通理解と信頼という土台から発展していける。
意図をもって小さな会社をつくる
構造の再設計は、単に会社を小さくすることではない。リーダーと仕事の間にある層を減らし、他者の調整だけを仕事とする役割を減らし、AIが引き受けられるピースを抱える手を減らすように、オペレーションの形を変えることだ。その結果、残る人々は顧客により近く、意思決定により近く、理想的な成果により近い場所に立つ。
再設計は、人数を削って効率化と呼ぶよりも難しい。会社が実際のところ何のために存在するのかを決め、その決定を中心に構造を再構築することが求められる。残念ながら、いま削減を進めている企業の大半はこれを行わないだろう。しかし、これを行う企業は、関係する全員に対して正しいことをしたという確信をもって前に進める。



