アート

2026.06.21 14:00

世界一の女性富豪が掲げる「文化的ビジョン」で変貌を遂げるアーカンソーの小都市

アリス・ウォルトン(Photo by Wesley Hitt/Getty Images)

こうしたテーマ別の展示手法で特に注目されたのは、ウィルシャー・ブルバードに面したロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)だ。およそ7億2400万ドル(約1160億円)かけて完成させた「デヴィッド・ゲフィン・ギャラリー」が、5月にオープンした。

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所蔵作品を定期的に入れ替えながら紹介する新設のそのギャラリーでは、同美術館のコレクションを太平洋とインド洋、大西洋、そして地中海という4つの海をテーマに分類・整理し、展示している。その分類の方法は、「4つの海がいかに人々や文化を結び付けてきたか」を反映したものだという。

一方、クリスタル・ブリッジズは、「We(私たち)」「Dreaming(夢見ること)」「Nature(自然)」「Making Our Mark(私たちの足跡を残す)」「We the People(私たち人間)」の5つをテーマに、セクションをわけている。美術館のウェブサイトによると、この分類は来場者を、「夢見る力、芸術的想像力、私たちと自然・自然素材との関係、私たちの空間と文化を形作るモノ、繰り広げられていくアメリカの物語」についての旅に誘うものだという。

ベイリーはテーマに基づくこの分類を、「意図的に型破りなものであり、モノと素材、アーティストたちの声の交互作用」に基づくものだと説明する。拡張工事と再編を経たクリスタル・ブリッジズは、初めて訪れる人たちにとって、「美術館での体験とはこういうもの、という考え方に縛られることがない」ものになったという。そして、それは彼女たちにとって、作品の展示方法に別の考え方を取り入れるきっかけになっているという。

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また、美術館はこの拡張に伴い、先住民のアーティストたちが手がけた作品およそ200点を所蔵作品に加えた。そのひとつが、欧州から「タートル・アイランド(亀の島、北米大陸のこと)」にやってきた入植者たちと先住民の出会いをまったく逆の視点から描いたケント・モンクマンの大型作品、『Saving the Newcomers(やってきた人たちの救助)』だ。

「ベントビル効果」

慈善活動家のアリス・ウォルトンが2011年にこの美術館を開館したとき、ベントビルの人口は、およそ3万7000人だった。その都市にもたらされたいわゆる「ベントビル効果」は、彼女の壮大なビジョンを象徴するものだといえる。

完全に「ウォルマートの街」だったベントビルは、文化がもたらされたことによって、世界的に名前を知られる都市になった。それは才能ある若者たちを引き付け、数々のレストランやブティックホテルの開業、さらにはサイクリング文化や食に関する文化の発展にもつながった。ベントビルの中心街に開館したクリスタル・ブリッジズのサテライト施設、The Momentaryもまた、彼女の構想による地域の再活性化に貢献した。

ベイリーはこうしたベントビルの変化について、「誇りと可能性が共有されるようになった」と語る。それは、地域全体にも広がっているという。

寄付金によって入場料無料の方針を貫いているクリスタル・ブリッジズには、開館以来1500万人以上が訪れている。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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