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2026.06.18 16:15

「クラシック音楽」はデザインにどんな気づきをもたらすのか?

サローネサテリテにおける河端さんの作品

サローネサテリテにおける河端さんの作品

「米国・クランブルック芸術大学院は森のなかにあり、寮の外を出歩くのはなかなか大変です。それで部屋で作品制作に集中して気分転換が欲しい時、寮にある大きな調理場を使ってケーキをつくり、皆に声をかけると喜んで集まってきてくれたのです」

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このエピソードが、河端亞弥さんの性格をよく語っていました。

今年4月、ミラノサローネ内にあるサテリテという新人登竜門の場で河端さんと出会いました。彼女はテキスタイルデザインを展示していたのですが、ぼくはそれらを見て即、「ヨーロッパで売れるタイプ」と直感しました。それから何回か会って話すうちに彼女のものの考え方がとても丁寧だと気づきます。

芯にあるものを端的にいうと、次の言葉です。

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「クラシック音楽というのは長い歴史のある音楽だから、演奏や解釈の仕方に信頼感がもて、私のデザイン活動の源泉はここにあります」

ぼくはクラシック音楽とデザインやクラフツマンシップの関係について、こんなにも楽しそうに話す人に会ったことがありません。河端さんは小さな頃からバイオリン演奏をはじめ、小学校から高校まで東京の音大の付属校に通います。普通であればそのまま音大に入学するコースです。しかし、美大に進学します。

音楽の範囲を広げ深めるためにアートやデザインを学ぶのが良いと思ったのです。しかも、小学校の時から絵を描くのが得意で、友人のために描くと皆が喜んでくれた。音楽にせよアートにせよ、人に喜んでもらえるというのがクリエイティブであろうとする意欲の契機になります。

エジプトの技法を使った作品
エジプトの技法を使った作品

中学生の時は学校のオーケストラだけでなく地元の市民オーケストラにも入り、時には高齢者施設でも弦楽四重奏を演奏します。そして、自身にとっては特に感慨をもつでもない曲が高齢者たちにとっては心を震わせ、涙さえ流すことがあると知ったのです。

自分自身の満足だけでなく、音楽を聴く人の喜びを知るにはもっと世界を広げないといけないと気づいたのが、美大へと足が向かう一つの動機でした。

多摩美大と米国ミシガン州のクランブルック芸術大学院ではグラフィックデザインと建築を学び、ニューヨークやヨーロッパで仕事をした後に日本に帰国。その間も、バイオリン演奏は常に続けており、大学時代にはウィーンフィルハーモニーが若手演奏家向けに企画したテンポラリーオーケストラでコンサートマスターを務めたこともあります。

今もデザイナーとアマチュア演奏家を並行させています。そして、デザイナーとしての活動はグラフィックデザインに加え、テキスタイルやセラミックも素材としています。その一つが今年のサテリテの展示作品だったというわけです。

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文=安西洋之(前半)・前澤知美(後半)

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