サイエンス

2026.06.20 17:00

脳がないのに「24個の目」を持つハコクラゲの正体と驚異の生存戦略

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特に注目すべきは、これらの上眼と下眼が捉える映像が比較的ぼやけていることだ。これは、人間にとっては欠点のように思えるかもしれないが、ハコクラゲにとっては、適応の結果である可能性が高い。ハコクラゲはマングローブ林などの沿岸域に生息し、そうした環境では、水中の密集した障害物を避けながら移動しなければならないことが多い。こうした動物にとっては、細かい部分まで鮮明に捉えることよりも、物体を大まかに認識することの方がおそらく重要なのだ。

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ピット眼は、はるかに単純な構造をしている。この研究によるとピット眼は、詳細な像を捉えるのではなく、主に全体の明るさを測定する光受容体として機能していると考えられる。これらはクラゲが、自分が明るい日光の下にいるのか、それとも深い日陰にいるのか、あるいは光の条件が変化しているのかを判断する上で役に立っているのかもしれない。

スリット眼の機能は、その中間に位置する。その特異な解剖学的構造から、空間情報の把握能力は限られている一方で、視野の特定領域におけるコントラストやエッジ、そして方向性のある視覚的手がかりを検出することは可能であると考えられる。

これら24個の眼を組み合わせることで、ハコクラゲは、以下の多層的な感覚システムを実現している:

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・一つのグループで、水上の状況を監視する
・もう一つのグループで、水中の大きな構造物を追跡する
・残りのグループで、周囲の明るさや、広範囲の視覚パターンを感知する

進化は、「あらゆる機能を兼ね備えた、高度に洗練された目」を一つ作るのではなく、機能を分割し、それらをいくつかの特化した目に分担させた。これは、通常の脳に相当する器官を持たないクラゲのような動物にとって、極めて洗練されたソリューションだ。

なぜ24個の目を持つように進化したのか?

2011年に『Current Biology』で掲載された研究において、研究者らは、カリブ海に生息するハコクラゲ(学名:Tripedalia cystophora、日本名はミツデリッポウクラゲ)の視覚による制御と遊泳方向の決定について詳細な調査を行い、マングローブのラグーンに住むこの生物が、移動する際に、陸上の視覚的手がかりに大きく依存していることを明らかにした。

より具体的に言うと、このハコクラゲは、水面より上にあるマングローブの樹冠の外観を頼りにしながら、餌が豊富な生息域にとどまっているようだ。このことは、クラゲが単に明暗に反応しているのではなく、景観そのものに関する情報を能動的に取得・統合していることを示している。

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翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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