これは、ランニングでの成功が、他の事業分野を立て直すための手本になることを意味する。この戦略には、アスリートの知見を反映した明確な商品開発の流れ、販売チャネルごとに最適化した品ぞろえ、そして商品やブランドの魅力をより強く伝える取り組みが含まれる。ナイキは、自社にとって最も重要な競技向けスポーツ分野でこのモデルが有効であることを示した。これにより、フットボールやバスケットボール、さらにその先を含む全ポートフォリオに同じ手法を広げられると投資家が考えるための具体的な根拠を示している。
再建への懸念に対する回答
これは、株価の重しとなっている最大のリスク、つまり回復が遅すぎ、課題が大きすぎるのではないかという懸念に対処する材料だ。懐疑的な見方をする投資家が、当四半期にスポーツウェア部門が10%台前半の減少となったことや、中華圏の売上高が10%減少したことを逆風として指摘するのは当然だ。これらが深刻な障害であることは間違いない。
それでも、ランニング部門の成長は、ナイキが新たな取り組みに力を注いだ領域では成果が出ていることを示している。同社は、従来型のフットウェア製品ラインで40億ドル(約6450億円)を超える売上を、意図的に、しかも困難を伴いながら減らしている。そのなかで、ランニング事業は高成長のけん引役になっている。これは、直販一辺倒だったやり方を見直し、小売店との連携を取り戻しながらブランドの格も引き上げるという難しい立て直しが、机上の空論ではなく社内ですでに実証済みであることを示す証拠でもある。
現在の課題の先を見ようとする投資家にとって、重要な問いは、この20%超の成長が単独の成果なのか、それともより広範な回復の先行指標なのかという点である。今後の焦点は、サッカーなど他のカテゴリーが同様の傾向を示し始めるかどうかだ。


