米メディア大手のフォックス・コーポレーションは米国時間6月15日、ストリーミング大手のロク(Roku)を220億ドル(約3.52兆円。1ドル=160円換算)で買収することで合意に達したと発表した。今回の買収によってフォックスの配信事業は拡大し、両社によれば「米国のテレビ業界で3番目に大きな勢力」が誕生することになる。
フォックスの発表によると、ロクの買収価格は1株あたり160ドルだ。今回の取引により、両社は4億ドル(約640億円)のコスト削減効果を見込んでいる。
大富豪ルパート・マードックの長男で、フォックスのCEOを務めるラクラン・マードックは、今回の買収をフォックスにとっての「決定的な瞬間」と表現した。そして「最も価値のあるライブコンテンツのポートフォリオおよび動画視聴体験と、米国の視聴者を支える卓越したストリーミング・プラットフォームとを融合させるものだ」と語った。
PPフォーサイトのアナリストであるパオロ・ペスカトールはロイター通信に対し、テレビ視聴の主体がストリーミングへと移行する中、この取引によってフォックスは「コンテンツの発見、データ、そして収益化に対するより強力な支配権」を握ることになるとの見方を示した。
両社の説明によると、ロクの株主は保有する1株につき96ドルの現金とフォックスのクラスA株約0.97株を受け取る。また、買収手続きの完了後、統合後の会社が発行する株式の約73%を既存のフォックス株主が保有することになるという。
この発表を受け、フォックスの株価は時間外取引(プレマーケット)で11%以上急落した一方、ロクの株価は0.8%とわずかに上昇して取引された。
フォーブスの推計によると、2023年9月にフォックス・コーポレーションの会長職を退任したルパート・マードックとその家族の推定資産額は233億ドル(約3.73兆円)に上る。また、2002年にロクを創業したアンソニー・ウッドの資産額は推定32億ドル(約5120億円)である。
他のメディア大手と同様、フォックスもストリーミング分野にシフト
今回のロクの買収は、ラクラン・マードックが2023年にルパート・マードックから取締役の座を引き継いで以来、初の大型買収となる。他のメディア大手と同様、フォックスも近年はストリーミング分野へのシフトを進めてきた。同社は2020年、広告付きの無料ストリーミングサービスのチュビを4億4000万ドル(約704億円)で買収した。さらに2025年にはサブスクリプション制のライブストリーミング・サービスである「Fox One」を立ち上げ、同サービスではここ数日、FIFAワールドカップの模様が配信されている。
チュビは昨年初めて黒字化を達成し、同7月には月間アクティブユーザー数が1億人を超え、月間のストリーミング視聴時間が10億時間を突破したと発表した。これに対し、ネットフリックスが報告した2024年後半時点の会員数は3億人を超えている。



