ネットなどの防護物も無効に
この新型爆弾の重要性は、既存の対ドローン防護にとって大きな脅威になる点にある。爆撃ドローンが掩壕を破壊することはこれまでも可能だったが、そのためには同じ箇所を繰り返し爆撃しなくてはならず、多くの場合、数回出撃する必要があった。したがって、掩壕内の人員は防護構造が壊される前に退避する時間があった。だが新兵器は警告を与えず、最初の1発で掩壕を破壊できる可能性がある。
堅固な掩壕にはドローンから投下される小型爆弾に耐えられるものもあったのかもしれないが、状況は変わった。マルチコプターによる爆撃の精度は高いので、複数の貫通爆弾を同じ箇所に繰り返し投下し、クレーターを深く掘り下げていけば、どんなに厳重に防護された壕も爆破することが可能だろう。
ロシア側の道路には総延長で何百kmにもわたる対ドローン用のネットトンネルが設けられ(これはウクライナ側も同様だ)、重要な施設は金網スクリーンで防護されるようになっている。これらはFPV自爆ドローンをはじめとするたいていの攻撃ドローンに対して十分な防護になってきたが、新たに出現したフェンス支柱爆弾に対してはおそらく役に立たないだろう。
爆撃ドローンにはスマートな爆弾照準ソフトウェアが搭載されており、走行中のトラックといった目標にも命中させることができる。そのため、貫通爆弾はネットを突き抜けて目標を正確に攻撃できる可能性が高い。
これがロシア側にとってとくに懸念される事態なのは、重爆撃ドローンに関してはウクライナ側が決定的に優位な立場にあるからだ。一部の情報源によれば、こうした大型爆撃ドローンは、メディアの注目を一身に集めているFPVドローン以上の損害を敵に与えている可能性もある。理由が何であれ、ロシア軍は現在にいたるまで、独自の大型爆撃ドローンを大規模に配備できておらず、ウクライナが新たに開発した弾薬に相当するものもない。
たしかに、フェンス支柱爆弾は工場で製造される精巧な爆弾に比べると粗雑だ。しかし設計は理にかなっているように見え、ロシア側に現実的で致命的な問題を突きつけている。ロシア側のすべての掩壕や道路は、この安価なバンカーバスターの脅威にさらされている。身を隠せる場所はもうどこにもない。


