起業家

2026.06.15 17:36

計画を貫け──短期的な妥協が長期のツケを生む

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起業家であれば誰しも、「わが子」である事業が成功したビジネスへと成長する姿を何より見たいはずだ。しかも、向かい風が必ず吹くことを分かっているなら、なおさらである。だからこそ起業家はしばしば、犠牲を払ってでも、掲げた事業計画から脇道にそれる決断をしてしまう。ここで言うのは、新しい方向へ舵を切る「ピボット」のことではない。ピボットは最終的に事業計画の更新を必要とする。そうではなく、事業計画は据え置いたまま、事業を前に進めるためだけに、明記した目標に「例外」を設けることを指している。そこに大きな落とし穴がある。本稿では、そのウサギ穴にはまり込まないための方法を解説する。

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ケーススタディ

先日、レストランチェーンを立ち上げている起業家に会った。彼女はノースカロライナ州で4店舗を開業していた。1号店は計画通りに作り込まれ、まさに大成功を収め、高い売上とキャッシュフローを生み出していた。それが彼女の背中を押し、新店展開を進めることになった。だが、1号店と同等の賃料水準や一等地の物件を見つけるのに苦労した。そこで彼女は、成長を止めないために妥協を重ね始めた。そして、その瞬間からトラブルが増えていった。

2号店は、最適なフロアプランではなかった。実際には2階建てで、座席の半分が1階、残り半分が2階に分かれていた。開放的で楽しい雰囲気にすべきところ、空間が細切れで、まったく別の空気感になってしまった。想像の通り、客はその体験を好まず、再来店しなかった。結果として、売上が限られる中で長期賃貸契約のもと利益を出さねばならないというストレスを抱えることになった。

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3号店は都心ではなく郊外に出店した。だがターゲットは20代の若者であり、郊外立地は家族層により響く。賃料は都心立地の半額だったものの、狙う客層を呼び込めず、採算確保に苦戦した。

4号店は、最初の3店舗をシャーロットで出した後、ローリーに開いた。新たな市場へ拡大できることに彼女は興奮していた。しかしローリーは、都心部の人口密度という点でシャーロットとは異なる。シャーロットの1号店にかなり似た立地に感じられたにもかかわらず、売上は約半分で、コストは同程度だった。さらに悪いことに、当該市場で店舗が1つしかないため、マーケティングにおける規模の経済が働かなかった。彼女はローリー店の業績改善策を探るため、2つの都市間を片道2.5時間かけて移動せざるを得なくなった。成長への熱意は、瞬く間に苛立ちと焦燥へと変わった。

なぜこのような状況に陥ったのか起業家に尋ねると、非常に示唆的な答えが返ってきた。第2市場を試してほしいという投資家の助言と、住んでいる近くに新店舗を出してほしいという友人たちの要望に従ったというのだ。彼女の「直感」は、これらの物件は適切ではないと告げていたが、それでも成長を急ぎ、開店してしまった。いま彼女は、キャッシュフローを首に縄をかけるように締め上げる、3つの長期賃貸契約に縛られている。

重要な学び

明確な計画を立て、事前に調べ尽くす。この起業家は、明確な出店立地戦略を一度も作っていなかった。それは設計図なしで家を建てようとする住宅建設業者のようなものだ。新店を開く前に、明確な「交戦規定」を定めておくべきだった。たとえば、3マイル圏内の人口規模、周辺の人口動態における狙うターゲット、1フロアで最大2,500平方フィート、交通量の多い交差点に面すること、市場当たりの最低店舗数などである。そうしておけば新たな物件を探す際、これらの条件をすべて満たすことが必須となり、成功確率を最大化できる。

計画を貫く。出店立地に関して、成長への欲求が常識的なビジネス判断に勝ってはならない。成長の名のもとに行った妥協は、最終的に事業に深刻な財務負担をもたらした。このケースではフロアプラン、立地、市場の選定で妥協し、そのたびに代償を払うことになった。本来であれば成功と利益ある成長を祝う時間を過ごしていたはずが、過去に自ら作った混乱の後始末に時間の大半を費やしている。これは心理面にも響き、財務状況を悪化させ、次の出店に必要な新規資金を呼び込みにくくする。「ノー」と言い、完璧な機会が訪れるのを待つことはまったく問題ない。成長のためだけに、目の前の最初の話に飛びついてはならない。

犠牲を払うべきではないと言っているのではない。ときには選択肢がない場合もある(例えば、スペースが限られるため、マンハッタンの店舗レイアウトが他都市の同チェーン店舗と大きく異なることを考えるとよい)。しかし、常に妥協を重ねていては、この起業家と同じ混乱に行き着く。

常に自分の直感に耳を傾ける。CEOとは、「ハンドル」を握っている人物である。事業をどちらの方向へ向けるかを決められるのは、自分だけだ。他者の願望に引きずられ、自分ならそもそも走らない道へ進んではならない。彼女が「直感」を無視したのは、助手席の人にハンドルを渡し、事業を崖から転落させるようなものだった。

結びに

CEOとしての行動には結果が伴う。成長を急ぐあまり、実証済みの勝ちパターンや常識まで投げ捨ててはならない。事業計画の「原点」から繰り返し離れすぎれば、損失の拡大、追加の成長資金を呼び込めない状況、そして不安の水準が目に見えて高まる結果を招いても不思議ではない。成長はそれだけで十分に難しい。必要以上に難しくするような自傷行為は避けたい。

forbes.com 原文

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