サイエンス

2026.06.21 18:00

人類はたった「1種類の食べ物」だけで生き続けられるのか? 雑食に進化した理由

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例えば、「ライオン・ダイエット」をみてみよう。口にするものを、牛や羊などの反芻動物の肉と塩、水だけに限定するこの食事法は、「大半の食物を口にしなければ、炎症を引き起こすきっかけを一掃できる」という理屈に基づいている。

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深刻で、従来の治療の効果がない自己免疫疾患、あるいは過敏性に関する症状を抱える、ごく少数の人たちにとっては、(医師の監督のもとという条件つきで)この食事法を試してみるのも、短期的には、臨床面での意味があるかもしれない。

しかし、平均的な成人が、健康を保つための処方箋としてはどうだろうか? 生化学的には、この食事法には大きなデメリットがある。肉だけを食べていると、ビタミンCは基本的にまったく摂取できない(この記事の冒頭で触れた、18世紀の船乗りの話を思い出してほしい)。また、腸内細菌叢を支える食物繊維や、抗酸化反応を引き起こす植物性ポリフェノールも取ることはできない。

肉だけを食べるような、飽和脂肪酸の割合が高く、発酵性繊維に欠ける食事法は、腸内細菌叢の多様性を確実に損ない、全身性の炎症マーカーを上昇させる。これはまさに、「炎症レベルを下げる」とする、この食事法の触れ込みとは真逆の結果だ。

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これと比べると、動物肉は食べないが魚介類は食べる準菜食主義「ペスカタリアニズム」は、栄養学的にはるかに納得できるもので、大半の人は無理なく取り入れられるはずだ。魚は、良質の完全タンパク質やオメガ3脂肪酸を含み、ビタミンD、ビタミンB12も摂取できる。

しかしこちらの食事法でも、口にする食材の多様性(鉄分の供給源や、多様な植物性食物繊維、マメ科植物、全粒穀物)に注意を払わなければ、微量栄養素のバランスが崩れる恐れがある。これは、特に妊娠・出産が可能な年齢の女性において問題になる。ここで重要なのは、食事法の名が喚起するイメージよりも、その人が実際に口にするものの多様性だ。

食生活に関しては、過食に走るマキシマリズムや、単一の食物しか摂らないミニマリズムではなく、多様性が大事だというのが、科学界の一致した見解だ。これまでの進化の道筋、生化学的な必須要素、そして腸内細菌叢に関する研究論文はすべて、同じ方向を指し示している。それは、ヒトの体は、「幅広く、変化に富み、季節ごとに旬のものを食べる食生活」に適した形で作られているということだ。

ゆえに、排除するものが野菜であれ、動物肉であれ、ほぼすべての食材であれ、「極端に食べるものの種類を限定する食事法」は、われわれヒトの根本的な生理学的構造に逆らうものと言えるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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