AI

2026.06.18 10:15

AIのコストが激減したのに収益に財務効果が表れない「AI生産性パラドックス」をどう解消するか

stock.adobe.com

stock.adobe.com

AIの普及は目覚ましく、数年前にくらべて性能は格段に上がり、逆にコストも格段に低くなった。それなのに、AIを導入した世界の企業のうち、AIによる有意な財務効果が表れない「AI生産性パラドックス」が生じている。なぜそのような現象が起きるのか、どうしたら解消できるのか?

advertisement

AIを軸に企業の業務オペレーション全体を再設計するコンサルティングを提供するFULLFACT(フルファクト)は、スタンフォード人間中心人工知能研究所、マッキンゼー、MIT NANDA、総務省など国内外のレポートをもとに再分析した『AIを導入したのに売上げも利益も増えない原因と対策2026』を発表した。

それによると、生成AIの性能を示すベンチマークは1年間で桁違いに向上し、コストは2年前にくらべて280分の1となり、利用率は1年で約3倍に伸びている。ところが、企業は生成AIに300億〜400億ドルを投じているものの、全社的に測定可能な損益へのインパクトが得られた組織はわずか6パーセント程度だ。

その原因は、AI利用の「浅さ」と、使う業務範囲の「狭さ」にあるとFULLFACTは指摘する。問題はAIの性能ではなく、実装の仕方だ。生成AIを導入した企業の過半数では、AIの機能を3つ以下に限定し、おもに個人的な業務に使用している。そうではなく、AIを業務に「編み込む」ことで、はじめて損益インパクトが変化する。そうした全社的な展開ができている企業は4パーセントにすぎない。

advertisement
stock.adobe.com
stock.adobe.com

また、生成AIを用いた業務では、それに応じた指標も必要になるとFULLFACTは話す。「どの業務で使い、何を測り、誰が確認し、どのデータを入れるか」の設計が成果を左右するという。そこで同社は、AI実装で最初に確認すべきこととして次の5つを提案している。

1. 効かせる業務を選ぶ。損益に直結する業務をひとつ選んで深く使う。業務頻度、扱うデータ、確認者、成果指標が見える業務から始めること。

2. 測る指標を先に決める。導入前に、何が何ポイント動けば成功かを定義する。業務の処理時間や売上・コストの変化で測ること。

3. 入れてよいデータを線引きする。AIに渡していいデータ、いけないデータを業務ごとに決める。この線引きがないと、成果と信頼の両方を損なう。

4. 確認と責任の所在を明らかにする。出力の確認、誤りの修正、運用の更新を行う人間を業務ごとに決める。これがないと、概念実証と本番の成果を混同してしまう。

5. 四半期で範囲を広げる。成果が出た業務の手順と失敗ログを残し、次の業務へ展開する。AI活用方針は四半期ごとに見直す。

AIをどれだけ深く編み込めるかが成果を決める。個人が業務効率化に利用する生成AIとは別物と考えるべきだろう。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事