オラクル(ORCL)の株価は現在180ドル強であり、保守的なシナリオでは、今後3年間で約34%上昇する可能性がある。極端に強気な予測ではないが、試算が正しければ十分に意味のある上昇幅だ。株価を押し上げる中心になるのは、売上高が複利成長することだ。PER(株価収益率)などの評価倍率の上昇は、あまり大きな要因にはならないと見込まれている。以下は、この試算を支える事業面の基本要素である。
オラクル株に対する市場の見方は、これまで同社の従来型事業によって形づくられてきた。しかし、同社の新しい事業セグメントのうち2つは急成長している。マルチクラウド・データベース売上高は前年同期比で531%急増した。同時に、AIインフラ売上高も同じ期間に243%増加した。これらのセグメントはまだ成熟していない。むしろ、目に見えるところにありながら十分には評価されていない、超高成長の原動力だ。
この目覚ましい成長こそが、売上高を同社株の将来を左右する主要なけん引役にしている理由である。マイクロソフトやグーグルとのマルチクラウド提携といった戦略的取り組みは、顧客からの新たな需要を生み出している。こうした新分野での勢いが続けば、同社の売上高が複利的に伸びる土台は大きく変わる。
試算はどのように導かれているのか
この上昇余地の数字には、3つの予測が反映されている。このシナリオでは、売上高が今後3年間に年率12.6%で複利成長すると仮定している。これは現在の14.9%という成長率より意図的に低い水準である。最近の急伸が3年間にわたり同じペースで続くとは見込んでいないためだ。純利益率は、現在の直近12カ月(LTM)の水準がより長期的な平均に戻ることで、25.3%から23.7%に低下すると予想されている。評価倍率は、現在の37.6倍に近い水準にとどまる。
これら3つの要素を組み合わせると、利益は162億ドル(約2兆6000億円)から約217億ドル(約3兆4800億円)へ増加し、34%増となる。想定される評価倍率を適用すると、株価は約284.05ドルに達すると見込まれ、現在の水準を約34%上回る。
ORCLはこれを実現できるのか
AIインフラ向けの新たな資本効率の高いモデルは、売上高成長を現在のペース以上に押し上げる可能性がある。オラクルは顧客からの前払い金を活用することで、受注残全体を最近290億ドル(約4兆6500億円)急増させた。その主な要因は、AI処理能力に関する契約である。この戦略により、同社は需要拡大に対応しながら、それに伴うキャッシュフローの悪化を避けることができる。
このシナリオを崩すリスク
決算説明会で指摘された主なリスクは、長期的な設備投資をめぐる不確実性である。2027会計年度の設備投資について明確な説明を求められた際、経営陣は直接的な回答を示さなかった。AI事業の拡大に最終的にどれほどのコストがかかるのかが見えないことは、投資家にとって依然として大きな懸念材料である。
現在の価格でORCLを購入するなら
投資家が現在の価格で購入しているのは、安定した複利成長の価値であり、評価倍率の切り上がりや利益率の予想外の急上昇を当て込んだものではない。前提となるのは、売上高が想定どおりのペースで伸び続けることだ。もしそうならなければ、この計算を支える根拠は他にない。
ただし、自己資金でまかなう新たなAI契約のおかげで、売上高は見通しが立てやすい。だからこそ、設備投資の見通しが示されていないというリスクも、比較的受け止めやすいものになっている。



