その他

2026.06.15 08:30

2026年下半期、米株式市場を左右する「3つの要因」と注目セクター

stock.adobe.com

stock.adobe.com

S&P500種株価指数は6月9日時点で2026年に入ってから7.7%上昇している。この上昇の要因には、向かい風と追い風が混在している。イラン攻撃と関税による原油価格高騰を受けた金利上昇への懸念は、AI(人工知能)データセンター向け設備投資ブームへの熱狂によって打ち消された形だ。

advertisement

2026年の残り期間について、アナリストはかなり強気だが、過去の的中率は芳しくない。投資家は、5月のインフレーションが4.2%(3年ぶりの高水準)に達したことを踏まえた金利上昇への懸念が、スペースX(SpaceX)、OpenAI、AnthropicのIPOによって予想される時価総額3兆ドル超(約474兆円。1ドル=158円換算)を追い風とするAI株への熱狂を相殺するかどうかを見極める必要がある。

2026年これまでのマクロ経済環境

マクロ経済環境は、AI構築に参画する大手テクノロジー企業のバリュエーション、イラン攻撃とトランプ関税を受けた原油価格上昇によるインフレ効果、そしてインフレーションがFRBの目標である2%を上回ることで利上げにつながるのではないかという懸念によって形作られてきた。

(1)AIのバリュエーション

AI株の上昇が、インフレーション上昇と金利高への懸念を打ち消してきた。確かに、これにはファンダメンタルズ面での理由がある。

advertisement

AI向け設備投資の恩恵を受ける企業は時価総額が大きく、S&P500の上位10社が指数全体の時価総額の約40%を占めている。より広く見ると、AIインフラの恩恵を受ける企業群が2026年におけるS&P500のEPS成長の約半分を占めている。Yahoo Financeによると、グーグル、アマゾン、マイクロソフト、Metaの4社だけで2026年に7250億ドル(約114.55兆円)の設備投資を計画しており、これは昨年の4100億ドル(約64.78兆円)から77%増となる。

例えば、SanDiskやWestern Digitalといったメモリーチップ企業は予想を上回る業績を達成し、成長見通しを引き上げた。需要が供給を上回っていることから製品価格は3桁%の上昇を記録しており、2026年の有力銘柄となっている。データセンターを埋めるAIサーバーのメーカーであるDellやHPEも大きな上昇を享受してきた。

ただしAIのバリュエーションは非常に高水準に見える。例えば、シラーのCAPEレシオ(景気循環調整後株価収益率)は1月6日に初めて40(40.58)を超え、5月には41.6に達した。これは米国市場の140年以上の歴史の中で2番目の高水準であり、1999年12月のピークである44.19を上回るのはそれだけだ。

市場を押し上げている企業が投資家の期待を下回る四半期決算を発表したり、スペースXのほかOpenAI・Anthropicの2社のIPOがうまくいかなかったりすれば、投資家は売りに転じ、市場平均を押し下げる可能性がある。

(2)地政学的要因

イラン攻撃により原油価格が大幅に上昇し、インフレ高進の一因となっている。世界の原油の約25%の流通を阻害し、価格に上昇圧力をかけているホルムズ海峡の再開の見通しは、遠のき続けているようだ。

攻撃開始以降、原油価格は最大で66%上昇し、ブレント原油は5月4日に1バレル114ドルでピークを付けた。その後価格は下落しており、攻撃開始から6月10日までの2026年における原油上昇率は37%となっている。関税は現在15%のまま維持されており、中間選挙が迫る中で、市場にとって最も重大なマクロ経済上の脅威は、インフレーションの急騰のように見える。

(3)FRBの指導部と金利

ケビン・ウォーシュのFRB議長就任が承認されたことで、投資家は金利を現状維持するか、あるいは利下げに動くことを期待していたかもしれない。6月10日に金利上昇を受けて市場が下落したことで、投資家はFRBが利上げに踏み切る確率の見積もりを引き上げている可能性がある。

こうした金利上昇は、AI向け設備投資のための借り入れをより高コストにし得る。この設備投資のうち合計1.5兆ドル(約237兆円)は新規の借り入れで賄われると見込まれている。その結果、この支出の恩恵を受けるAI株の株価は急落する可能性がある。

次ページ > S&P500の年末目標値──ウォール街の見立て

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事