スイスの機械式時計ブランド「ノルケイン」の情熱的なメッセージと独自性の高い時計が、時計愛好家から高く評価されている。なぜノルケインは、これほどまでに熱狂を生むのか。その答えを聞くために、3年ぶりに来日したノルケインCEOベン・カッファーに話を聞いた。
スイス時計産業は、スイスフランの高騰や中国市場の冷え込みなどの要因が重なり、業績は芳しくない。しかしその中でも好調なブランドは存在する。ひとつの例としては、ラグジュアリーグループに属さず、資本的独立性を守っているブランド。さらに家族経営のブランドの業績は、実は堅調であるという。
「現在、世界情勢はそれほど楽観視できません。スイスの時計業界もやや減速しているのは理解できますが、そういうなかで家族経営の独立ブランドが比較的好調なのは、感情的なつながりを強く感じるからではないでしょうか」と語るのは、ノルケインの創業者でCEOのベン・カッファー。
彼が2018年に創業した時計ブランド「ノルケイン」も、独立資本と家族経営を貫き、独自性の高い時計を生み出してきた。
「我々がつくる時計の魅力のひとつは、希少性にあります。家族経営の小さな時計ブランドですから、生産本数は決して多くない。そのため『自分は特別な時計をもっているんだ』と言える。なぜノルケインを選ぶのか。それ自体がストーリーとして語ることができるでしょう」
実際、ノルケインの業績は右肩上がりとなっている。しかし急激な事業の拡大は、品質の維持やメンテナンス体制に、ひずみを生み出すこともある。
「幸運なことに家族経営の会社なので、弟のトビアスと職務を分けることができました。トビアスは主にセールス面を担当し、この3年間、世界中を飛び回ってイベントを行い、時計に対する情熱を語り、ノルケインの名を広めるために力を尽くしてくれました。その一方で私は、会社の急速な成長をうけて、新しい人材の確保や生産拠点の拡大など、会社の骨格作りに専念することができました。我々の価値観が確実に理解されるためには、優れたチームを構築することが重要になりますからね」
5名のスタッフでスタートしたノルケインは、今では100人近いスタッフを抱えるまでに成長した。しかしその成功に安住せず、気を引き締める。
「私たちは常に“明日の顧客像”について考えなければなりません。そこで最終的に大切になるのは、やはり“情熱”なのです。自分の製品を心から愛し、自分の会社を心から愛することができれば、人々はそれを感じ取ることができます。日本の場合も、何かを創造するために働くことを誇りに思っていますよね。それはとても大切なことだと思います」



